要請には萬歳章会長をはじめ、飛田稔章副会長、庄條徳一JA福島中央会会長、木村一男水田農業対策委員会委員長、山中勝義畜産・酪農対策委員会畜産委員長、菖蒲奥典侑青果対策委員会委員長、冨士重夫専務理事、大西茂志常務理事、馬場利彦参事が出席した。
萬歳会長は「福島県では4カ所目(の暫定規制値を超える米)が出て生産者は不安と混乱でたいへんな状況にある」として国の責任ある対応を求めた。
新たに暫定規制値を超える放射性セシウムが米から検出され、福島県では県内3分の1の農家で一戸一袋の緊急調査で対応していることから、庄條会長は国での検査体制の支援や機器の提供などを求め、「1日も早く全戸検査を終了して数値を出し、来年安心して米をつくれる環境への最大の努力をお願いしたい」「福島の米のブランドは壊滅的な打撃を受けざるをえない。福島のブランドを守るためにも詳細に調査をしていただくことが次年度から安全安心な米がつくれる」と述べた。
鹿野農相は「農水省からも人を派遣し、検査の体制強化にあらゆる協力をしていかなければいけない。範囲の広い検査になるので県と連携をとりながら検査計画をつくってやっていきたい」と支援に万全を期するとした。
JAグループが12日7日に鹿野農相に要請した内容の主要事項は以下の通り。
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米の出荷制限にともなう緊急要請では、福島県で暫定規制値を超える放射性セシウムが検出され、出荷制限や今後の暫定規制値見直しの検討などにより、「原発被害を抱えて生産現場には大きな不安と混乱が生じている」と強調し、「国の検査体制はもとより、主食である米の安全性について国民の不信を招いたことに対する国の責任は極めて重い」と指摘した。そのうえで一日も早い現状復帰と営農の安定を図ることは国の責務であるとして、要請を行った。
【米の出荷制限にともなう緊急要請】
▽米の放射性物質検査について、検査機器購入への支援、人的支援、国直轄の検査機関の設置などの措置、▽出荷制限米の国による買い上げも含めた責任を持った処理スキーム、▽風評被害への対応、▽農地土壌の詳細調査と除染、24年産米の作付け可否の早急な方針明示。
【畜産・酪農政策提案】
▽原発事故被害の対応として検査体制の強化などで需要拡大、枝肉価格の改善など万全の対策、▽牛肉輸入規制は、米国からの圧力ではなく科学的根拠と検証を行い消費者の理解と納得が得られない限り緩和しないこと、そのほか24年度対策として畜種別の経営安定対策で制度見直しと予算確保などを要請。
【青果対策の政策提案】
▽放射性物質の暫定規制値見直しにともなう検査体制の構築、生産・流通対策や風評被害対策、東電による万全の賠償が早期に行われるよう徹底した対策。そのほか野菜価格安定制度、加工・業務用野菜対策の充実・強化、果樹経営支援対策と改植に取り組む果樹生産者を支える未収益期間対策、セーフティネット対策の充実など。
※庄條徳一の「徳」の字は正式には旧字体です。
(写真)鹿野農相に要請書を手渡す萬歳会長