たばこは昨年の値上げで消費減少が懸念されていたが、東日本大震災の工場被災で生産が一時滞ったことも響き、今年度末には葉たばこの在庫が24カ月分にまで膨らむ見通しとなった。これを受けて、農水省は全面的な廃作希望を募った。
その結果、農家戸数で全体の39%にあたる4106戸、耕作面積では32%にあたる4412haが葉たばこ生産を廃作することになった。主産地の宮崎県では廃作農家が54.7%にも上っている。
廃作に応じた生産者の約4割が50歳以下で地域農業の大事な担い手だ。そのため、どの品目へ作付転換するかが重要だが、高品質な葉たばこ生産をしてきた農地は、土づくりが徹底されるなど優良農地であり、また、生産者も厳密な契約内容を守って生産・出荷する経験が豊富だ。
こうしたことから農水省は外食産業や食品企業との契約栽培などによる業務用・加工用野菜の生産を進めることにし、24年度予算で新規事業として「葉たばこ作付転換円滑化対策事業」を50億円要求している。
同事業では▽農業用機械、ハウスのリース代、▽農産物の集出荷施設、加工施設、▽実需者との協議、加工適性試験、栽培実証などの経費の2分の1を補助する。