◆増加する問い合わせ
日本生協連とパルシステムは、11月30日、都内で開いた会合で、放射性物質問題への対応についての取り組みを説明した。原発事故後、組合員から放射性物質に関する問い合わせが増加。「事故以前はほぼゼロだったのが現在はひと月1000件程度」(パルシステム)、「1カ月に約2000件」(日本生協連)と、消費者の商品の安全に対する敏感で高い不安がうかがえる。
◆独自の基準を設定
パルシステムでは、組合員の食卓の安全・安心を守ること、日本の農業を応援して東日本の農地・農業を次世代に手渡すことを使命と考え、政府に暫定規制値の見直しを求めるとともに、10月からは独自のガイドラインによる基準を定めた。下表にあるように、設定した品目については政府の暫定規制値の5分の1としている。国の示す暫定規制値は放射線が人体に与える影響の緊急時の基準値「年間5ミリシーベルト」から割り出されているのに対し、パルシステムでは平常時の「年間1ミリシーベルト」という基準値で定めたという。しかしこの指標に留まるのではなく、今後は第2段階指標として、これまで知見のない魚なども含めて対象食品群を拡大し、さらに低い数値の基準を年度内に定めたいとしている。
また、これまで外部依頼していた自主検査だが、ゲルマニウム半導体検出器2台を導入して、より大幅な検査の拡充を図っていくほか、これまで同様、商品カタログやホームページ、宅配職員による対応などで放射能についての調査結果やQ&Aの発信・提供に努めていくとしている。
パルシステムの堀田澤義人広報部長は、「1年過ぎたからといって山が越えられる問題ではない。定型化してやっていかなければいけない」として産地の生産者とどのように消費者へ安心と安全の提供をしていくか考えながら取り組んでいきたいとしている。