農政・農協ニュース

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明田氏、斉藤・重頭氏の著作が受賞  JA研究賞

 JA全中はJAや協同組合についての優れた著作や研究論文を「JA研究賞」として毎年表彰している。今年は斉藤由理子氏、重頭ユカリ氏(ともに農林中金総研)共著の『欧州の協同組合銀行』(日本経済評論社、2010年12月)、明田作氏(農林中金)の『農業協同組合法』(経済法令研究会、2010年2月)の2冊が選ばれ、12月15日に東京・JAビルで表彰式を行った。


(左から)明田氏、萬歳章JA全中会長、斉藤氏、重頭氏(写真)
(左から)明田氏、萬歳章JA全中会長、斉藤氏、重頭氏

◆多様なあり方のEU協同組合銀行

 『欧州の協同組合銀行』は、欧州21カ国の各国で預金・貸出金額が平均で2割、高い国では5割にも達するという協同組合銀行を国別に分析し、そこからJA、JFなど日本の協同組織金融機関の存在意義や将来展望を考えようという内容。関係資料・文献の検討に加えて現地の詳しい実態調査があり、学術性が極めて高いことが評価された。
 斉藤氏は「協同組合銀行は単なる株式会社銀行とは違い、地域の人々の暮らしを支えている。日本の系統金融も学ぶところが多い」と本書を紹介。重頭氏は「EUでは金融危機が起きて協同組合銀行の利用者が増えている。協同組合にとって厳しい時代だが、こういう現状をまとめられたのは嬉しい」と受賞の喜びを述べた。


◆農協法をより深く理解できる

 『農業協同組合法』は、明治33年の産業組合法から始まる農協法の法制史と現行の農協法についての解説をまとめている。農協法の体系的な研究は近年ほとんどなく、歴史的史料価値があり、農協法をより深く理解できるとの評価を受けた。
 明田氏は元JA全中職員であり、「全中で長年やってきた仕事が評価されたとの思いで、大変嬉しい」と受賞の喜びを述べるとともに、「今後は世界的視点から見た日本の協同組合について研究を進めたい」と意欲を見せた。
 両著作には副賞として50万円が贈られた。
 またJAや協同組合についての研究に助成金を出す「JA研究奨励」には、一般研究部門で6件が選ばれた(下記参照)。特別研究は該当なしだった。

【JA研究奨励 一般研究】 (敬称略)
田中佑佳(東京海洋大学)「直売所経営と協同組合間協同のネットワークに関する研究」
望月洋孝(東京農大助教)「日本における生活協同組合が展開するフェアトレード推進の取り組みに関する実証的研究」
吉仲怜(弘前大学助教)「農協販売事業の強化と部会再編に関する研究」
正木卓(北海道地域農業研究所)ほか1名「北海道における中山間地野菜産地形成と土地利用型農業の再構築」
高橋祥世(北海道大学農学院)「家族農業経営における後継者妻の意欲と現状の乖離に対する農協組織の支援〜きたみらい農協フレミズ訓子府支部を事例として」
中村竜人(麻布大学大学院獣医学研究科)「アニマル・ウェルフェアに配慮した畜産物フードシステムにおける協同組合の役割-英国フリーダム・フードを軸とした流通競争構造の考察-」

(2011.12.16)