「大津野ふれあい市」の他店舗との違いは、組合員による老人会メンバーが主体となった産直市が前身となっている点だ。9年前から家庭菜園などを行う高齢者たちが集まり、「地域のものを売っていこう」と支店の駐車場にテントを張って産直販売を始めた。
しかし近年、高齢化による会員の減少と、生産履歴記録の強化が求められるようになったことから、産直の存続が難しくなった。そのため、農家主体からJA主体の産直に切り替え、支店の倉庫を改装した新たな店舗でオープンすることになった。
大津野ふれあい市部会の会員は現在53人。メンバーのほとんどが10a未満の小規模農家だ。
ふれあい市は毎週水曜日と土曜日の午前9時から11時までで、オープン初日は新鮮な農産物、約40品目が並び、開店と同時に店内は多くの来店客であふれた。値段はどれも市況価格の3割以上安く、100円を切るものもある。これまでも約1時間で大半の商品がなくなってしまうほどのにぎわいを見せていたといい、安さも人気の理由だ。
今後は安定した周年販売にしていくため、生産面積と会員の拡大が課題だとJAはいう。
JAでは管内に多い小中規模農家の対応として、産直による出荷の場の提供をはじめ、それでもまだ出荷に余裕がある生産者に対しては地元スーパーのインショップへの出荷や学校給食への食材提供を提案している。他の産直4店舗に出荷する生産者は学校給食への食材提供もしており、収入の安定や意欲の向上にもつながっていることから、同市の会員へもニーズに対応しながら提案を図っていきたいとしている。
同JAは、地元のものを顔が見えるかたちで販売することを重視しており、今後も小規模な地場産の産直を全地域に設置していきたいとしている。