◆北欧向けGM作物が登場
最近のEUにおけるGM作物に関するトピックス的なできごとといえば、まず2010年3月にスターチ用ではあるがGMバレイショ(BASF社のAmflora)の商業栽培が認可され、ドイツ・スウェーデン・チェコ・オランダ・スロベニアなどで栽培されたことだろう。
もっとも苗のなかに未認可バレイショ(Amedea)が混入していたために、ドイツやスウェーデンなどは直ちに栽培を中止したが…。
しかしそれでも、これまで商業栽培が認可されているGMトウモロコシ(MON810)が「主として南欧向けの作物だったのに対して、北欧向けのGM作物が登場したという意義がある」と立川教授は評価する。おそらく北欧諸国のなかでGM作物の商業栽培に取組んだのはスウェーデンが初めてだろう。
このGMバレイショはスターチ用なので、今後、未認可バレイショのクリーニングが済みスターチメーカーとの契約がなされれば、広がっていく可能性はあるといえる。
(写真)
茨城大学農学部・立川雅司教授
◆認可GM作物は39栽培認可は2品目だけ
現在、EUでは39品目のGM作物が承認されているが、そのうち栽培が認められているのはトウモロコシ(MON810)とスターチ用のバレイショ(Amflora)の2品目だけだ。後の37品目は輸入することが認められているもので、トウモロコシが23品目、ワタ7品目、ナタネ3品目、ダイズ3品目、テンサイ1品目となっている。
(続きは シリーズ・遺伝子組み換え農産物を考える で)