◆認知度向上を最重視
全国実行委員会では活動の基本目標を(1)社会・経済に対する協同組合の貢献についての認知度の向上、(2)協同組合の発展、(3)協同組合政策・制度の整備、(4)東日本大震災からの復旧・復興の4つを掲げ、このうち最も重視する活動を「認知度の向上」とし、協同組合が果たしている役割について情報発信に努めていく。
内橋克人代表(写真・左)は被災地での各協同組合の活動について▽組合員だけでなく地域全体を支援している、▽地域を超えた連携がある、▽地域の復興計画そのものに知恵を出している、ことを挙げ、「人々が生き抜く力を取り戻すために力を注いでいる」など役割を発揮していることを評価したが、国際協同組合年を「単なるイベントに終わらせていけない。貧困の根絶など社会の課題解決に具体的に努めなければならない」と強調した。
また、実行委員会はキックオフイベントの参加者に向け「国連が協同組合を高く評価したからといって、今年、国連が何かしてくれるわけではない。協同組合自体が情報発信など自らが活動を強める必要がある」ことも指摘した。
◆ポストIYCも検討
認知度向上のための具体的な活動としては▽協同組合リーフレットの作成と普及、▽記念イベントの開催、▽大学での講座提供、小中学校での協同組合教育の充実に向けた働きかけなどに取り組む。 また、今回の実行委員会の結成で多様な協同組合グループが集まったことから、これを契機に大震災からの復旧・復興、人材育成など協同組合間の協同も模索する。とくに被災地への支援には協同組合が積極的に取り組んでいることから、積極的な情報交換を行い、実践可能な活動について検討、提案していく。 さらに2012年以降も活動が継続できるよう「ポストIYC(国際協同組合年)」の活動と体制について、24年度上半期をめどに検討を進めることにしている。
実行委員会では茂木守前JA全中会長に代わり萬歳章全中会長が副代表に就任することが了承された。
萬歳会長は同日、コメントを発表。国連がIYCを定めた背景に協同組合が人々の経済社会開発へ最大限の参加を促していることや、持続可能な開発、貧困の根絶などに貢献できる事業体であると評価していることがあるとして「このことを誇りに思い、より多くの方々に協同組合の意義、素晴らしさを理解していただきたい。JAグループとしても全力をあげていきたい」としている。
◆政府に憲章制定の働きかけ
国連は国際協同組合年を機に各国政府が協同組合の発展を促すことを求めている。
それを受け実行委員会では協同組合憲章を日本政府に制定するよう働きかけることも活動の重点としている。実行委員会で決めた草案はその前文で憲章制定の目的を「政府に対して協同組合全体を貫く協同組合政策の基本的な考え方と方針を明らかにするようもとめるため」としている。 そのうえで協同組合の基本理念と果たしている役割を整理し、協同組合政策の基本原則や政府の行動指針を記すという構成になっている。
中小企業同友会は平成22年に「中小企業憲章草案」を策定し政府に制定を働きかけた結果、この憲章が閣議決定された。この例をふまえ協同組合憲章の制定をめざすもので各協同組合の中央機関は今後、内閣官房や関係省庁に働きかけを行っていくことにしている。
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