農政・農協ニュース

農政・農協ニュース

一覧に戻る

TPP、米国労働組合は日本参加に反対 意見募集の概要

 TPP(環太平洋連携協定)への日本参加について米国政府は意見募集(パブリックコメント)を行っていたが、このほど外務省が結果概要をまとめた。

 米国政府の意見募集は1月13日まで行われた。寄せられた意見は合計113件。
 外務省のまとめでは日本参加に肯定的な意見が98件(86.7%)、否定的な意見が7件(6.2%)、態度不明が8件(7.1%)となっている。
 意見表明をした団体を分野別に分類すると農業30.1%、製造業13.3%、ビジネス団体9.7%、食品9.7%、サービス8.8%などとなった。
 日本のTPP交渉参加に肯定的な意見のおもな理由は、日本は米国にとって主要な貿易投資相手国であることや、米国の輸出に大きな機会をもたらす、日米関係の強化に資するといった指摘がある。 ただし、交渉参加の条件として「現在の交渉スケジュールを妨げることになってはならない」、「高い水準をめざすことに対するコミットが必要」、「合意済みの事項について蒸し返してはならない」などの要求も出されている。また、日本の関税と非関税障壁への対応を求める意見もある。
 一方、全米自動車政策評議会や全米労働総同盟・産業別組合会議は日本の参加に反対している。
【肯定的な意見の例】
全米商工会議所:日本の関心表明を歓迎。すべての財・サービスおよび貿易・投資に関する国内の障壁をテーブルに載せるべき。米国と同じレベルの市場アクセスの確保を求める。
米国食肉協会:日本は他のTPP交渉参加国がすでに合意したものと同じ包括的な市場アクセスに合意すべき。食品安全に関する国際的で科学に基づいた基準の遵守が必要。
米国生命保険協会:TPP交渉を通じてかんぽ生命と共済との競争をゆがめる政策・法令・運用の除去または修正。民間事業者との対等な競争条件の確立。かんぽ生命による新規または修正された商品の販売が認可されないことなどを要望。
米国速達協会:日本郵政の国際スピード郵便(EMS)を民間と同一の規制の対象とすべき。
米国コメ連合会:すべてのタリフライン(関税品目)を含むことが前提であるべき。いずれかを除外することは米国の利益を弱め、将来の参加国に「除外が可能」とのシグナルを送ることになる。残留農薬に関しリスクにくらべて高くつく検査コストは米国供給者に萎縮効果をもたらしている。
【否定的な意見の例】
全米自動車政策評議会:日本の自動車市場は先進国のなかではもっとも閉鎖的。日本の参加は交渉の遅延につながる。交渉参加前に輸入車の市場開放に向けた複数年にわたる約束を示すべき。軽自動車規格に対する特別な待遇は廃止すべき。
全米労働総同盟・産業別組合会議:自動車関税の撤廃は対日自動車貿易赤字を拡大させ、日本メーカーが米国内で生産するインセンティブを減少させる。不適切なかたちで日本がTPPに参加する場合は米国経済と労働者への利益がなく日本に一方的に利益を与えることにもなり得る。NAFTA等のFTAによる雇用創出効果の見積もりも不正確だった。 そのほかJA全中の反対意見のほか、「日本のTPP参加に強く反対。日本のことは日本で決定したい」、「1100万人もの反対署名が集まっている。協定条文案も参加を強制されるべきではない」といった日本人の意見も寄せられている。


(関連記事)
TPPで政府が広報活動 2月19日の名古屋を皮切りに (2012.02.08)

TPPは中国包囲網 (2012.02.06)

日本のTPP参加は米国にも不利益 JA全中がUSTRに意見表明 (2012.01.17)

(2012.02.09)