会場には今年も福引き景品として北海道から沖縄まで全国各地のJAやメーカーからの提供品が並んだ。
主催者として(社)農協協会の中川会長は日頃の関係者、関係機関の協力に謝辞を述べるとともに「今年も大変な年のようだが、農協がしっかりとお互いに手を結びあい、協同組合ここにあり、を見せる姿勢が必要では」と協同組合関係者の事業・運動に期待を寄せた。
来賓の祝辞に続き、JA全中・谷口肇常務、JA共済連・宮本慎一専務、農林中央金庫・古谷周三専務と参議院議員の大河原雅子氏、山田俊男氏による鏡開きが行われた。また、会では音楽家・吉岡しげ美さんのピアノの弾き語りも行われた。吉岡さんは与謝野晶子など女性詩人の詩に曲をつけて演奏活動を続けており、この日は東日本大震災の被災地を励まそうと被災地で生まれた詩などから曲が選ばれた。
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上:来賓5氏による鏡開き
下:吉岡しげ美さんによるピアノの弾き語り
来賓あいさつ
JA全中・谷口肇常務理事
3.11のことはさまざまに語られていますが、厳しい冬が過ぎ春になっていくなか、改めてどんな支援ができるかみなさんのお知恵をお借りしながら考えていきたい。
今、全中はJA全国大会の大会議案の検討を開始しています。まさに日本の国の生産基盤は、高齢化問題も含め待ったなしの状況で、本当に褌を引き締めて検討に傾注しているところです。
また、今年は国際協同組合年です。今日も鹿野農相と面会し協同組合の振興を要請してきたところですが、協同組合の認知度の向上にみなさんと手を携えていきたい。最近私はさまざまな協同組合と毎日のように話をしていますが、このこと自体にも価値があると考えています。
JA全農・吉永正信代表専務理事
今年は国際協同組合年です。合理化、効率化、あるいは市場原理主義一辺倒の社会経済ではなく、助け合い、絆、信頼関係といった協同組合の精神をなんとか日本に広め協同組合の認知度を高めるため、全農はその先頭に立って活動していきたいと考えています。
また、36県本部と本所、グループ会社が一丸となって事にあたれば組合員やJAの期待に沿う事業活動ができると考えています。これはJAグループ全体にもいえるのではないかと思っています。現在、TPPや震災復興、農業復権という課題をJAグループは抱えていますが、やはり単協、連合会、グループ会社など仲間が一つの方向にベクトルを合わせればよい方向に持っていくことができると思っています。
JA全共連・宮本慎一代表理事専務
東日本大震災からはや10か月あまり。JA共済は現時点で57万1000件、8190億円の共済金の支払いをしています。また、日本共済協会に加盟している共済団体トータルでは約1兆円、損害保険会社全社で1兆2000億円ですから、それに匹敵します。まさしく協同組合、相互扶助の力です。
しかし、米国USTRなどはTPP交渉の前段階から共済事業に対し税制や規制の見直しをせよという厚かましい要求を突きつけてきました。共済事業の理念、あるいはその事業の取り組み方針を国民に広く理解していただくようがんばって対応していかなければいけません。JA共済事業がおかしな方向にいかないよう正念場の年であるという強い覚悟で臨みたい。
農林中央金庫・古谷周三専務理事
今年、東京で約50年ぶりに世銀とIMFの総会が開かれることになっています。東京開催はやはり復興状況を確認したいとの意向もあったようで世界中の金融機関も注目をしているということでしょう。震災のような事態で協同組織金融機関が他の営利の商業銀行とは違い、支え合う、いざとなったらいろんなことができている、ということをぜひ発信をしてくれと海外の仲間からも言われており、そこを意識して情報発信もしていきたい。
欧州の状況をはじめ気の抜けない状況が続くが、やはり農協の信用事業は農業と地域にしっかり根ざし支持される存在だということについて、いろいろな角度から取り組みをし、全国連としてもその観点での施策をもっと厚くしていきたい。
民主党・大河原雅子参議院議員
新年早々、山田正彦前農相を団長としてワシントンへTPPの調査に行ってきました。驚いたのはこの問題について特別な方々しか関心を持っていないこと。北米自由貿易協定について雇用が100万人失われたと多くの国民が懐疑的だとの世論調査結果も示されていました。
国際協同組合年の今年、長く協同組合精神に則って活動してこられたみなさんの力を結集して、この国が道を誤らないように。私は党内でがんばっていこうと思っています。みなさんのネットワークを結集し情報を集め、しっかりと議論をして道を選ぶ。私としてはTPPは断固阻止したいと思っています。
自由民主党・山田俊男参議院議員
出席の方からは、今、地球上を悪魔が飛び交っていると指摘されました。それは新自由主義、金融資本主義であり、それに協同組合が負けてしまうようなことがあっては絶対にダメ、楔を打てという言葉と受け止めました。 大事な協同組織をつぶすようなことになってはだめだということだと思います。会場の入り口には各JAの誇るべき素晴らしい農産品が並んでいます。しかし、大震災のなか新自由主義とTPPの世界に巻き込まれては地域はどうにもならない。絶対にこの国をきちんと守る、この国の大事なかたちは変えさせない取り組みが必要だと確信しています。
梶井功 東京農工大名誉教授
この集いの副題は「地域と命と暮らしを守るために」。まさに協同組合運動の高みそれ自体です。昨年の大震災後の各JAの活動はこれを見事に実証したと思います。協同組合の社会的な存在意義を日本国民みんなが認識したのではないか。それを国際協同組合年ではまさにそれぞれの地域でJAが地域と命と暮らしを守るために活動をしているということを活動のなかで具体的に示していく。これが新自由主義に汚された世の中を変えていくきっかけになると思います。
農薬工業会副会長
シンジェンタ ジャパン代表取締役会長・村田興文氏
世界中のホテルに必ずあるのはローストビーフ、サンドイッチ。たとえまずいと言われてもこの二つはあります。では、世界中のホテルで寿司や天ぷらが食べられるでしょうか。日本農業を活性化させるためには海外に目を向けるという発想を持たなければなりません。
日本の米はなぜこれだけ時間をかけずに栽培ができるのか。これは世界のなかで日本の農機、農薬の製造技術はトップレベルだから。この技術に支えられて日本の農業はここまでこれた。それを支えてきたのは農協だという自負は忘れてはいけないと思いますが、これからは農協がフードクラスターの中核になって地域の農産物を海外でも販売していく。今年は昨年の悲しい出来事を乗り越え新しいビジネスの第一歩となれることを心から願っています。
新世紀JA研究会代表
JA東西しらかわ・鈴木昭雄代表理事組合長
新世紀JA研究会は昨日まで福島県で震災と協同組合をテーマに研究会を開催しました。これほど農協運動が必要とされているときはないし、同時にどれだけのことができるか、その挑戦を見せる千載一遇のチャンスだと思います。
福島では今、毎日、どう放射能と闘うか、頑張っていることを報告したい。この問題を風化させてはいけない。なぜ原発事故が起きたのか、事故後はどう対処しなければいけないか、損害賠償のあり方、さらに私たちはどう暮らさなければいけないかという問題があります。JAとしては7000か所での放射能測定に入り血の出るような努力をしています。それが24年産の作付けへの一筋の光になると考えています。
農協協会 2012年新年の集い
福引き景品 ご提供品
「新年の集い」には、大変多くの団体・企業等の皆様から200を超える景品をご提供いただきました。誠にありがとうございました。参加者の皆様には大好評でした。
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全国から届けられた景品の数々