殺菌後は速やかに無害化するため安全で、また原料が再利用資源なので低コストで製造できる。
カット野菜の殺菌(食品分野)、種子消毒(農業同)、口腔内殺菌(医療同)、有機化合物汚染土壌の浄化(環境)など幅広い分野で応用が期待できる。
新技術で製造した殺菌用資材には、原料として加えた鉄が二価鉄として含まれ、これと過酸化水素が混合することで、反応性の高いヒドロキシラジカルを発生させ、殺菌を行う。 その後、ヒドロキシラジカルはすぐに消滅し、無害化する。通常、二価鉄は酸化されて三価鉄になりやすいが、この資材中では長期間安定維持されることが特徴だ。
食中毒は世界的に大きな問題。米国では年間7600万人の患者が発生している。安全な殺菌技術が求められるが、塩素系殺菌剤はトリハロメタン(発がん性が高い)を発生させる恐れがあり、塩素臭が残るなどの欠点もある。その他の方法は装置の導入コストが高いなどの問題がある。
そこで茶殻やコーヒー粕の還元力に着目して新技術の開発に取り組んだという。鉄を含む原料を茶殻やコーヒー粕と混合・反応させて殺菌用資材を得るのが新技術の特徴だ。製造した資材を使えば大腸菌や青枯病菌(野菜の病原菌)を短時間で殺菌する。
農研機構は製品開発を共同で進める企業を募集している。
《ヒドロキシラジカル》
活性酸素の中で最も強力な酸化力を示す。周辺の分子を攻撃した後、酸素と水に変化する。