開会のあいさつで所信を述べたJA全中の萬歳章会長は、JAグループが直面する重要課題として[1]TPP交渉参加問題への毅然たる行動、[2]農政改革への対応、[3]地域のライフライン機能を発揮した新たな協同の創造、[4]さらなる経営の健全化に向けた取り組み、[5]JAグループの将来の発展に向けた人材育成、の5点を挙げた。
[1]では「国論が二分する中、JAグループがなぜTPPに反対なのか、役職員一人ひとりが理論武装し、語り部となっていく必要がある」として各界各層と連携しTPP断固阻止に向けて徹底した運動を貫くとした。
[4]では女性理事の登用や組合員加入の促進、組合員学習活動を通じた女性、青年農業者、次世代就農予定者との積極的な関係作りの強化などを挙げ、[5]では「役職員、組合員の人づくり・教育は協同組合の原点」だとして「今後組合員の世代交代が本格化する中で協同組合の仲間づくりはJA運動にとって重要な課題」であると述べた。
また今年は国際協同組合年であることから、「協同組合の意義や地域貢献といった社会的・経済的役割について広く国民、政府、世界に呼びかけ新たな協同の創造に邁進していく」とした。
来賓の筒井信隆農林水産副大臣は、昨年策定した「『我が国の食と農林漁業の再生のための基本方針・行動計画』に基づいて日本農業の再生を果たしていくことが極めて大きな課題である」としたうえで、品質を強みとする日本農業の付加価値を消費者にきちんと広め、消費や輸出拡大を実現していくためにもJAグループの理解と協力がなければできないことだとして「今後も連携しながら日本農業再生のために全力を尽くしていきたい」と述べた。
全国農業会議所の二田孝治会長は「農業・農村が変革期を迎えている今こそ、これまで以上に連携を深め、現場の農業者の声を農政に反映させていく取り組みが大変重要だ」、日本生協連の浅田克己会長は「国際協同組合年にあたりさまざまな取り組みが計画されているなかにあるが、単年度で終わらせるのではなく未来に向けて一緒に協同組合の役割を継続的に発揮していきたい」と話した。
【東日本大震災からの復興に関する特別決議】(一部抜粋)
JAグループは、これまで全国の組合員・JAの協同の力で被災地にあらゆる支援を行ってきたが、引き続き、募金活動・ボランティア派遣の再開、的確・迅速な損害賠償請求、被災地JAの経営改善支援、被災地農産物の販売促進など全力を挙げて被災地の復旧・復興の支援に取り組む。
あわせて、国に対して、TPP交渉参加を検討することが、将来不安を増大させ、被災地の復旧・復興の取組みにとって大きな障害となっていることに強く抗議し、TPP交渉参加を断念させるとともに、被災地の実態・要望をふまえ、被災地の復興推進体制の強化や農地の復旧・除染作業の加速化をはじめ、復旧・復興対策の強化・改善および放射性物質の新たな規格基準に関する万全な措置を強く求める。
JAグループは、わが国有数の食料供給地帯であり、多くの人々のかけがえのないふるさとである被災地の復旧・復興が実現し、豊かな暮らしと地域が再生するまで、全力を尽くし取り組むことを宣言する。
【TPP交渉参加阻止実現に向けた国民運動の展開に関する特別決議】(一部抜粋)
政府が関係国との協議体制を確立することなく、対応方針も明らかにしないまま、事前協議をすすめ、情報の開示もせず、なし崩し的に交渉参加をはかろうとするのであれば、国民をだます背信行為である。
JAグループは、引き続き、消費者団体、医療関係団体等との連携を一層強化し、TPPが国民の食と暮らし、いのちを危機に陥れるものであり、けして日本人の幸せにつながるものではないことを、国民・消費者に更に理解してもらう、広範な国民運動に取り組んでいく。我々は、今後とも、TPP交渉参加阻止を実現するまで、不退転の決意で、徹底して闘っていく覚悟である。