◆広がる活動の輪
同女性部の生活教室でつくっていたという「南天九猿」は、南天の木に9匹の猿が乗ったお守りで「難が転じて苦が去る」という意味が込められた縁起ものだ。
震災発生後、同女性部はすぐに義援金の送付などに動いたが、その後「早く災難が去ってほしい」という願いを託し、岩手、宮城、福島の女性組織協議会にこの「南天九猿」を送った。受け取った各県の職員からは、お礼の手紙やFAXが届き、それが手に渡った3県の各JA女性部からも、「気持ちが安らいだ」「作り方を教えてほしい」というお礼の手紙が再びJAに届いた。
この声を受けて昨年10月、女性部員10人が「南天九猿」づくりの材料を持って現地に向かった。東北3県をバスで回り、「南天九猿」の指導で交流を深めるとその後も手紙でのやりとりなどが続き、現在では被災地3県の女性部員を中心に「南天九猿」づくりは広がりを見せている。
昨年10月にJA香川県女性部が訪れた岩手県のJA江刺女性部では、JA香川県の女性部から指導を受けた部員が講師となり、今年1月からたびたび各支所で「南天九猿」づくりを開いている。家に飾るだけでなく、近所や知り合いに贈る人もいて地域に輪が広がっているといい、3月28日にはJAおおふなとに部員がつくった「南天九猿」を届ける予定だ。
(写真)
上:「南天九猿」
下:JA江刺女性部との交流(昨年10月)
◆部員の絆も深まる
震災から1年を迎えた3月1日、同女性部は改めて何かしたいと、この日に向けて作業をすすめてききた千羽鶴や手作りのティッシュカバー、マフラーなどを3県に送った。
同女性部の二川豊子部長は「何かをしたいという気持ちはみんな持っていても一人ではなかなか行動できませんが、こういうことならすすんで参加してくれる。女性部員同士もひとつの目標に向かって取り組むことで全員の気持ちが寄り、これまで以上に親密になりました。男性役員の見方も変わり女性部の活動や組織を再認識してもらえた」と話し、女性部内の絆を深めることにもつながっている。
また「金銭的な支援の継続はなかなか難しいけれど、体を使ったり気持ちを送ることはいつでもできるので今後も続けていきたい」として、今年11月には福島県のJA新ふくしま女性部が長野県で行う研修会に同女性部員も参加し交流を図ることにしている。
(写真)千羽鶴に思いを込めて