農政・農協ニュース

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地域におけるJA共済の役割 ―「地域の復興は農協がつくる」という熱い思いを胸に

 59万2018件。これは今回の東日本大震災で被災され建物更生共済の共済金が支払われた件数だ(3月7日現在)。東電福島第一原発事故による放射能汚染でいまだに入ることができない地域もあるので、今後この件数はさらに増えることになる。
 これだけの件数をできるだけ短期間に損害査定し、迅速に共済金を支払うこともJA共済に課せられた使命だといえる。当然のことだが被災地のJAの職員の多くも被災者だ。避難所生活をしながら組合員を励まし、JA共済契約者の安否や被害状況の確認に走り回った多くの共済担当職員やLAがいたことを忘れてはならない。
 そしてJA共済連はこうした人たちを支援する意味を込めて、3月21日から10月23日までの約7カ月間、22班体制で、各県本部や全国本部から延べ2475名の職員を「広域損害査定員」として被災県に派遣した。派遣された多くの職員から、現地で感じたことやJA共済の果たした役割などの声が寄せられている。その一部を紹介しながら、JA共済によって結ばれたJA組合員や職員同士の「絆」について考えてみた。

東日本大震災と協同組合の「絆」

◆被災した人のために少しでも役立ちたい

 JA共済連の各県本部や全国本部の職員が「広域査定員」として宮城県や福島県を中心とした被災県に派遣されたのは、3月21日からだが、そのピークは4月17日〜23日と5月1日〜7月29日(連続9週)の10週で、1班100名以上(最大163名)が派遣された。
 5月に宮城県の沿岸部のJAに派遣された秋田県本部の職員さんは現地に着いたときのことを「その光景は今まで見たことも無い悲惨な状況で、まさに絶句とはこのことを言うのだと感じました。震災より2カ月が経過してもなお続く遺体捜索、避難所暮らし……」と書いている。
地域におけるJA共済の役割 ―東日本大震災から1年を迎えて 滋賀県本部から5月に福島県中通りのJAに派遣された職員さんは「ちょうど花桃やハナミズキの花が満開に咲く、地震・原発被害さえなければ本当に穏やかな春の風景でした。しかし、建物・道路に目をやれば損壊箇所が至る所にあり、屋根の多くにブルーシートで覆われた家屋や、土壁の外壁が大きく崩れた土蔵等」が見られたと春の風景の中に残された傷跡の深さを語っている。
 山口県本部から宮城県に派遣された職員さんは「仙台空港に降り立ったとき、そこには震災の爪あとがまざまざと残る現実が待っていた」。それを見たことで「被災された方のために、少しでもお役立ちしたい」という「相互扶助」の気持ちが「心の底から湧き上がってきた」という。そして「入会して10年以上経つが、ここまで強くJA共済の使命を感じたことはなかった」とも。


◆「わざわざ見に来てくれてありがとう」

 現地到着後は地元JAの職員やLAと被災者の家へ行き査定をすることになる。
 宮城県へ派遣された岐阜県本部の職員さんは「傾いている家もあれば被害の少ない家もある。いろいろな家がありましたが、その時の『わざわざ見に来てくれてありがとう』」という組合員さんの言葉が「心に響いた」。


(続きは 【特集】地域におけるJA共済の役割 ―東日本大震災から1年を迎えて で)

(2012.03.22)