議長国の韓国は徐(ソ)農林水産食品部長官、日本は鹿野農相、中国は韓(カン)農業部長が出席した。
共同声明では、農業が食料供給のみならず農地保全や生物多様性の保護など多面的機能を持つ重要な産業であるとの共通認識を持ったと強調。3か国は小規模経営、農地面積と農家数の減少、高齢化など、共通する困難な課題に直面しているが、「持続可能なレベルでの農業生産や生産性向上を通じた食料安全保障の確保」などに対処することが求められていると表明した。
そのうえで具体的な課題として食料安保の確保のほか、口蹄疫や鳥インフルエンザなど動植物防疫、自然災害の対応、日中韓経済連携などについて協調して解決することをめざすとしている。
日中韓の経済連携については、持続可能な農業をめざしつつ農産物貿易を促進することが盛り込まれた。また、FAO(国連食料農業機関)やG20、ASEAN+3、APECなどの場でも3国間の協力関係の強化も確認した。
前日には二国間会談も行われた。
鹿野農相と韓国の徐長官との会談で、鹿野農相は食品の放射性物質検査基準を厳しくしたことなどを伝え、輸入規制の緩和を求めた。韓国側は消費者の不安払しょく協力していきたいとした。
また、日中韓FTAについて鹿野農相は東アジアのみならずアジア・太平洋地域に貢献するとして「早期立ち上げ」を求めたが、韓国側はまだ立場を決めていないとして慎重な姿勢を示したという。
一方、中国の韓部長との会談では中国側が日中韓FTAについて「早期立ち上げを望んでいる」と表明、鹿野農相と認識が一致した。そのほか中国との会談では日本からの輸入規制の緩和を検討していることなどが伝えられた。また、鹿野農相からは食品に日本産ではないものに日本の地名を表示するなど知的財産保護の問題も指摘、中国側は不法な表示などへの対処を約束した。
3大臣会合は定期的に開くことで合意、来年は日本が議長国となって開催する予定。今回の農業大臣会合の結果は今年中国で開催される第5回日中韓サミットで報告される。