福島県は放射性物質を吸収・抑制する民間提案型の技術を募集。これを受けて(株)ハイポネックス ジャパン(大阪)は自社の微粉ハイポネックスによる技術で応募し、高い評価を得たもの。
応募案件の実証試験結果は、県が5月17日発表した。作物としてコマツナを使い、これが土壌中の放射性セシウムを吸収・低減させる技術を評価した。
微粉ハイポネックスの特徴はカリウムを多く含むこと。これがセシウムの吸収抑制に役立つ可能性は昔から話題にのぼっていた。
昨年の原発事故以後は、同社内で、この話題がにわかに現実味を帯び、同肥料を被災地支援に役立てるための実証試験を昨秋、岡山大学資源植物科学研究所の馬建鋒氏に依頼した。
その結果は昨年12月、低減効果を認める報告書にまとめられた。ちょうど、そのころ福島県も民間提案型の技術募集を始めたので、これにも応募した。
企業や団体などから応募合計は73件にのぼったため、県ではコストの観点を含めた書類審査をして採択数を10件に絞り、最終的には3件とした。そのうちの1つが微粉ハイポネックスであり、試験後は県の施策を待っている。
同社は今年が設立50年。ハイポネックスは社の原点ともいうべき商品だ。そこに放射能対策にも役立つという話題が加わった。
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なお福島県の試験は次のように行われた。
放射性セシウムを含む土壌で、作物(コマツナ)をプランター栽培し、微粉ハイポネックスと、その対照となる資材として「塩化カリウム」を使用した場合と無処理の場合の3試験比較で行われ、生育したコマツナの放射性セシウム濃度、及びコマツナへの移行係数が測定された。