農政・農協ニュース

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【現場で役立つ農薬の基礎知識】第11回 ひ弱な生育初期の管理が大事

 近年、大豆を栽培する担い手の大規模化が進んでいるが、その経営がうまくいくかどうかは、作業効率をいかに高めるかが鍵である。大豆の場合、その効率化したい作業の最たるものが除草作業だろう。除草がうまくいっていないと、大豆の生育が雑草の生育に負けてしまい、収量が低くなるばかりか品質も悪くなってしまう。
 大豆の除草を成功させるには、意外とひ弱な大豆の生育初期を、いかに雑草に負けないように管理して、大豆の生育を旺盛にしてやることが重要である。そして除草手段としては、中耕による除草やシルバー人材などを活用しての人力によるものもあるが、これらは規模が大きくなるとどうしても作業の効率性やコスト面で無理がある。このため、除草が必要な時期に、発生する草種に効果のある除草剤を上手に使うのが最もよい除草法のようだ。
 ここでは、除草剤の種類とどんな使い方がよいかという点に絞って整理してみた。実際の使用にあたっては指導機関の指導を第一にし、農薬のラベルをよく確認して、正しく使ってもらいたい。

大豆畑雑草の上手な防ぎ方

 

対象雑草
最近は外来雑草が深刻な問題に


メヒシバは、イネ科メヒシバ属の植物 大豆畑で害となる雑草は、メヒシバなどのイネと同じような葉っぱの形状をしたイネ科雑草や、シロザやオオイヌタデなどの広葉雑草が主なものだが、最近は、輸入穀物に混じって日本に侵入してきた外来雑草(イヌホオズキ類やアサガオ類など)が深刻な問題となっている。
 現在使用されている除草剤は、イネ科雑草を枯らすのが得意なものと広葉雑草を枯らすのが得意なもの、あるいは両方を枯らすことができるものがある。発生している雑草に応じて除草剤を選ぶことになるのだが、それぞれの種類に対する除草効果の有無を大まかなではあるが、表に示したので参考にしてほしい。
 ただ、大豆は広葉の植物なので、広葉雑草を枯らす除草剤を使用する時は、大豆にも害がある場合が多いので、薬害を回避するためには、使用方法や使用時期には特に注意が必要である。

 

大豆の生育ステージと除草剤
大豆の播種前、発芽前、生育期で異なる除草剤


 除草剤の特性を把握する上で必要なのが、大豆の生育ステージのどの段階で使用するものかということである。除草剤の使用時期は、大まかに分けて播種前、播種後出芽(発芽)前、大豆生育期の3つある。これは、除草剤の有効成分の特性に大きな関係がある。
 まず、大豆の播種前と播種後出芽(発芽)前に使用する除草剤は、大豆に直接触れると薬害が起こるので、大豆が畑に存在しない状態の時に使用する。土壌表面散布する除草剤や非選択性の茎葉処理除草剤の多くがこの時期に使用する。
シロザは、アカザ科アカザ属の一年草 一方、大豆生育期に使用する除草剤は、大豆に除草剤がかかっても薬害が起きないか、あるいは影響がほとんど出ないので、大豆の畦間だけでなく、株間にもびっしり生えてくる雑草に対し、安心して畑全体に除草剤を撒いて雑草を一網打尽にすることができる。
 実際、大豆に全くかからないようにして雑草にだけ除草剤を撒くのは不可能であるので、その点、大豆生育期に使える除草剤は使いやすい除草剤といえるようだ。

(写真)
上:メヒシバは、イネ科メヒシバ属の植物
下:シロザは、アカザ科アカザ属の一年草

 

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(2012.07.27)