独立行政法人農畜産業振興機構が業務用冷凍バター2000tの追加輸入を実施する。8月6日に同機構で入札説明会を行い、8月下旬に入札。入札後から11月までに順次、輸入・引き渡しを行う。
今年はすでに政府は国家貿易によるカレントアクセス分として7500tの輸入を行ってきた。生乳生産は回復傾向にあり、バターの生産量も増加傾向にあるが、年末の需要期に向けてバターの安定的な供給を確保するために追加輸入を決めた。
郡司農水大臣はこの日の記者会見で「とくに今の段階で(需給が)ひっ迫していることはないが、いちばんの需要期はクリスマス商戦。その前段で一定の数を確保しておく方がスムーズな需要と供給という関係になるだろう」と追加輸入を認めた理由を話した。
「生乳需給に影響を与えない対応を」
JA全中の飛田稔章酪農委員長がバター緊急輸入にコメント
農林水産省が8月3日にバターの緊急輸入を実施することを決めたことについて、JA全中畜産・酪農対策委員会の飛田稔章委員長(JA全中副会長)は同日、コメントを発表した。
飛田委員長は、東日本大震災・原発事故の被害による生乳生産量が減少しているなか、TPP交渉参加問題に対する不安や配合飼料価格の高騰による経営悪化への懸念などにより「酪農の生産基盤が縮小傾向にあり、現在、酪農生産者・生産者団体が一丸となって生乳生産の回復・拡大のための取り組みをすすめているところ」と指摘。 そのうえで「政府は緊急輸入したバターが国内の生乳需給に影響を与えないよう慎重に取り扱うとともに、牛乳・乳製品の需要を満たす生産が可能となるよう、生産基盤の回復・拡大に向け徹底した政策を早急に確立すべきである」と強調している。