検討会は京都造形芸術大学教授の竹村真一氏を座長に他6名の有識者で構成。食文化を軸に地域レベルでの活動を実践するためのツールとなるマニュアルの作成をめざす。
第1回の会議ではマニュアルの性格や構成など作成するにあたっての方向性を話し合った。
竹村氏は「単に各地域の名物を網羅的に並べる観光ガイドのようなものではなく、これから地域の食文化のナビゲーターとなるようなもの」として、「先進事例を紹介しつつも出来合いの情報を提供するだけでなく、それぞれの地域が自分の特性を認識し、欠けている部分も再発見できるようなツールになれば」と提起した。
各委員からは「今の若い人は母親などからレシピを伝承されていないために日本の伝統食材を応用できない人が多い。若い人たちに“美人になれる”、“太らない”といった新しい付加価値を示すことで日本食の価値を再認識してもらう提案が必要では」(細川委員)など、日本の食文化の崩壊を指摘する意見も多く見られた。
また「『食文化』というと特産品にひきづられがちだが地域伝統の日常食や食べ方、そこにしかないものに重点を置くべき」(戎谷委員)といった意見や、一次産業、女性の起業とのかかわりの必要性などもあげられた。
検討会では全4回の会議と現地調査を経て年度内に「マニュアル案」をまとめる。次回の検討会は11月1日の予定。
このマニュアル作成は、国民社会の将来の「食」の道しるべとして22年12月に策定された「『食』に関する将来ビジョン」に基づくもの。そこでは「地域資源を活用した地域の活性化の視点」が示されている。
検討会メンバー
○座長
▽竹村真一氏(京都造形芸術大学教授)
○委員
▽戎谷徹也氏((株)大地を守る会事業戦略部)
▽篠崎宏氏((株)JTB総合研究所主席研究員)
▽中田典子氏(小浜市役所企画部食のまちづくり課課長補佐)
▽古屋由美子氏((有)INRコンサルティング代表取締役)
▽細川モモ氏((社)Luvtelli Tokyo&NewYork代表理事)
▽藻谷浩介氏((株)日本総合研究所調査部主席研究員)