病害虫の生態に合わせ、農薬の個性を活かした防除を
◆病害虫の生態を知り効率的な防除を
防除の効率をあげるには、まずは対象となる病害虫の生態をよく調べるとよいだろう。病害虫も生き物なので、好きな環境と嫌いな環境がある。それを知り、病害虫が嫌がるような環境にほ場を変えてやれば病害虫の発生が少なくなり、その分だけ効率的な防除ができるというわけだ。
例えば、アブラナ科野菜の大敵、根こぶ病は、酸性土壌を好むという性格を持っており、石灰質肥料などで、土壌をアルカリに矯正するだけで根こぶ病の発生は極端に減る。
このような防除法を耕種的防除というが、秋冬野菜の栽培はその効果を得やすい時期でもあるので、実行できる方法があれば是非お試しいただきたい。
[耕種的防除の例]
(害虫)防虫ネット、粘着紙、周辺雑草防除、栽培時期の移行、手取り など
(病害)熱消毒、土壌還元消毒、拮抗微生物利用、有機物施用、輪作、抵抗性品種の利用、弱毒ウイルス、栽培時期の移行、適正施肥、雨よけ栽培 など
(雑草)機械除草、耕運、マルチかけ など
◆農薬は時期と発生状況にあわせて選ぶ
農薬にはそれぞれ個性があり、葉っぱの表面から移動せず病害虫を迎え撃つもの、植物の根から吸収されて作物の体内の隅々に行き渡って効果を示すもの、作物の抵抗性を誘導して作物を病気に罹りにくくするもの、幼虫にしか効かないもの、害虫が食べてはじめて効果が出るものなど様々である。
上手に防除するには、それらの個性を十分に把握した上で、それを活かした使い方が必要になる。そのためには、農薬のラベル、解説技術資料などをよく読み、個性を把握し、特に「使用適期」(農薬の効果が最も出やすい使用時期)は十分に把握しておきたい。
例えば、害虫が小さい時に散布しないと効きが悪い農薬の場合、対象害虫が既に大きくなってしまった時に使用しても効き目が薄くて効率が悪いし、病害が発生する前に散布しなければ効かない農薬を病害の発生後にいくら散布しても効果がなく、無駄な散布になってしまうので、このようなことがないよう注意してほしい。
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