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地鶏の研究など目立つ食材の話題 東京農大の『新・実学ジャーナル』10月号

 東京農業大学は『新・実学ジャーナル』10月号を発行した。

 東京農大と東京情報大学での取り組みや、産官学が連携した研究と、その成果を報告・解説した情報誌で、今月号は食材や新食品の話題が多い。
岐阜地鶏 その中で「岐阜地鶏に魅せられて」と題した桑山岳人教授の解説は「現在のニワトリは大量の卵を生産するために改良され、本来保持していた母性行動の1つである就巣性(しゅうそうせい)を消失している事を皆さんはご存知であろうか」と問いかけている。その1部分を紹介すると…

(写真)岐阜地鶏

◆就巣性を排除して卵用鶏種つくる

 就巣性とは巣の中で卵を温める性質。本来野生の母鶏は、孵化まで21日前後(有精卵の場合)と、子育て(育雛)の間は産卵しない。しかし外敵に巣を荒らされたり、卵を盗まれたりすると子孫を残すための予備能力によって産卵を続ける。
 そこで卵が欲しい人間は、就巣性を排除して、予備能力の高い鶏を選抜し、品種改良を進めた結果、抱卵や育雛の行動を発現せずに、年間300個以上の卵を産むといった卵用鶏種をつくり出した。
 しかし未改良の鶏の産卵生理機構との違いや、就巣性がいかにして消失したかについてはまだ不明な点が多い。そこで未改良の鶏を用いて、それらを明らかにしようとしてきた。
 幸い研究対象である岐阜地鶏は天然記念物に指定されて、採卵用としては改良されてこなかったため就巣性を保持している。
 ただ就巣性の排除は、その発現制御遺伝子を特定することによるものでなく、産卵成績と就巣行動の発現記録に基づいた選抜育種により成し得た成果だ。
 したがって今後の展開については▽就巣性が完全に排除された卵用鶏種▽排除が不完全な卵肉兼用種▽就巣性を保持している地鶏などの鶏の全ゲノムの塩基配列を次世代シーケンサーで解析することにより、就巣行動発現制御遺伝子を特定すべく研究を進めている。
 それが特定されれば就巣性が完全に排除されていない家禽の品種改良にも貢献できると考えている。

 


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