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首都圏に284万人の巨大生協  ちばコープ・さいたまコープ・コープとうきょうが組織合同を決定

 2009年秋から組織合同(合併)のための協議を進めてきた首都圏の3生協(ちばコープ・さいたまコープ・コープとうきょう)は、11月16日にそれぞれ臨時総代会を開催し、組織合同について可決承認した。これによって、組合員284万人超という巨大な生協が2013年3月21日に誕生する。新しい生協の名称は「生活協同組合コープみらい」となる。

◆強固な事業基盤確立し存在感を高める

総代会後記者会見する田井ちばコープ理事長、上原コープとうきょう理事長、佐藤さいたまコープ理事長、赤松コープネット理事長(左から) 1都7県の生協で構成されるコープネット事業連合に参加する首都圏の3生協が合併するのは、「厳しい経営環境のなかで事業連帯組織を創り、社会の変化に適応させながら、組合員のくらしに貢献して」きたが、今後さらに「強固な事業経営基盤を創り発展させる」ためには、▽事業革新とコスト構造改革、▽事業と組合員活動の連携、▽地域社会づくりへの参加と社会性の発揮、▽迅速な意思決定を進めることが求められていることから、「これまで果たしてきた事業連帯の延長ではなく」、「新たな組織の枠組みが必要」だからだと「新しい生協づくり趣意書」で述べている。
 一言でいえば「強固な事業基盤を確立し、社会の中での存在感を高める」(記者会見資料)ためということだ。

(写真)総代会後記者会見する田井ちばコープ理事長、上原コープとうきょう理事長、佐藤さいたまコープ理事長、赤松コープネット理事長(左から)

◆新生協の名称は「コープみらい」

 そして組合員とのミーティングや80万近い“夢”アンケートをもとにまとめられた「新しい生協のありたい姿」(今後の指針)は次の6つだ。
1)安全・安心を第一に、「日本を、食卓から元気にしたい。」を社会発信し、日本の食を応援します。
2)誰もが楽しんで利用しやすい生協であり続けます。
3)子育て・高齢者支援など、地域とつながり誰もがくらしやすい社会づくりを進めます。
4)くらしの様々な場面や災害時にも、誰もが頼れる生協であり続けます。
5)一人ひとりの組合員の声(意見・要望)を聴き、活かす生協であり続けます。
6)全国の生協と連携を強め、社会に向けて発信力を高めていきます。
 16日に同時に開催された3生協の臨時総代会は、9月15日に3生協の理事長によって調印された「合併契約書」をそれぞれ圧倒的多数の賛成で可決承認した。
 13年3月21日に誕生する「生活協同組合コープみらい」はのように、組合員数284万人超、供給高3475億円(宅配2358億円、店舗1114億円)となる。これはコープこうべの167万人・2526億円、コープさっぽろの139万人・2546億円を上回る全国最大規模の生協となる。

13年3月21日に誕生する「生活協同組合コープみらい」

◆生協運動面で危惧する意見も
 
 合併によって組織規模が巨大になることで、商品調達や物流など事業面でのメリットがでることは想定できるが、生協という協同組合の組織活動面で危惧を指摘する声もある。記者が傍聴したちばコープの臨時総代会でも、現在の生協の問題点として「組合員組織と事業体が分かれている」ために(生協役職員に)「組合員と一緒に」の姿勢が感じられないや、「社会に向けての発進力(発言力)」は、組織の「大きさはあまり関係なく」、生協のトップが「組合員とともに“運動”があってこそ」だという意見や、「組合員として意思を形成する場が、まったくない」と参加型民主主義の重要性を指摘する意見が表明された。
生協が同時に臨時総代会開催。写真はちばコープ臨時総代会 280万を超える組合員を擁するということは、組合員の収入面でも、おそらく5〜6倍の格差があると想定され、生協といえども組合員ニーズは多様になっているといえる。なかでも景気低迷もあって若い人たちや収入の低い層の「価格への訴求がシビア」(赤松コープネット事業連合理事長)になっており、どれだけ価格対応ができるかが問われている。
 さらに消費税率アップに向けて小売業界は「ものすごい競争になる」(同)ことも予測される。
 今回の合併はそうした状況に対応しコストの低減などによる「強固な事業基盤の確立」が第1の目的だといってよいだろう。そのときに、協同組合としてのあり方はどうなるのか。注視していく必要がある。

(写真)
3生協が同時に臨時総代会開催。写真はちばコープ臨時総代会

◆神奈川・静岡・山梨の3生協も合併

 また、ユーコープ事業連合に参加しているコープかながわ・コープしずおか・市民生協やまなしの3生協も合併に向けての協議を行ってきたが、10月5日に同時に臨時総代会を開催し、3生協の「合併契約」について可決承認した。
 これによって13年3月21日に「生活協同組合ユーコープ」として新たなスタートをきることになった。
 新生協の規模は別表のように組合員数179万人超、供給高1907億円となる。


新しい生協のありたい姿
 

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