◆攻めの農林水産業を心がける
林新農相は初めに「農林水産業は非常に大事な分野。農は国の基、いろいろな課題もあるが逆に非常に大きなポテンシャルを持っていると思っている。
スティーブ・ジョブスが亡くなる前、最後に何を食べたいかを聞かれて寿司が食べたいとおっしゃったという。食という人間のもっとも大事なところを持っているわけだから、しっかりとそのポテンシャルが出ていくような攻めの農林水産業ということに意を用いていきたい」などと話した。 安倍総理からは「戦略的な経済連携協定の推進にあたっては、聖域なき関税撤廃を回避しつつ、関係大臣と緊密に連携して総合的な交渉力により、守るべき国益をしっかり守りながら積極的に取り組む」という指示があったという。
それをふまえてTPPについては「FTA、EPA、あるいはWTOの議論でも当然、例外的な措置がある。しかし、TPPはまったくそういうものを設けず関税を撤廃することがそもそも交渉参加の前提条件になっていると聞いている。そういう意味で今までの一般的な通商交渉とは性格が違うのではないかという懸念が強い」と話したほか、「いついつまでにどうこうするというよりもきちんとした情報を取って、それに基づいてきちんと議論をすることが大事。各方面から話を聞かせていただいて、スケジュールについては予断を持たずに進めていきたい」と話し、情報開示に努力して議論する考えを示した。
◆「戸別所得補償」から「多面的機能直接支払」へ
また、戸別所得補償制度の見直しについては25年度は名称の変更も含めて必要最小限になるとの考えを示し「現場の混乱を招かないことがいちばん大事。与党も同じ認識。本格的な検討は26年度予算に向けて、ということになる」と述べた。
本格的な見直し検討は政権公約で掲げた「戸別所得補償」から果樹や野菜なども対象とする「農地を農地として維持する支援策」へ拡充する「多面的機能直接支払い」の法制度化で「党としてもこれを推進していくことになる」と話した。
ただ、これに関連して26年度までを期間とする現行基本計画を1年前倒しして見直すかどうかについては「まだ決めていない」としたが「政権交代をして制度の見直しの着手もしていくということだから、それをやっていくなかで基本計画を変えないといけないということになればその都度判断していく。今、予断を持って前倒しするとは考えていないが、必要であればやるという可能性は今の時点で排除するべきものではない」と述べた。
そのほか青年就農給付金や農の雇用支援事業なども継続させる考えを示した。