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信用・共済分離論を排す

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Cから始まるPDCAとは

・PDCAとは
・仕組みの確立と意識改革

 PDCA(計画:Plan、実行:Do、チェック:Check、改善:Act)は、Plan・Do・See(計画・実行・見直し)とも言います。企業は、すべて計画・実行・見直しのサイクルによって運営されます。これは、人間の行動に置き換えてみれば簡単に理解できます。

◆PDCAとは

 PDCA(計画:Plan、実行:Do、チェック:Check、改善:Act)は、Plan・Do・See(計画・実行・見直し)とも言います。企業は、すべて計画・実行・見直しのサイクルによって運営されます。これは、人間の行動に置き換えてみれば簡単に理解できます。
 人間は物事を計画し、それを実行に移し、実行した結果を見直します。実行した結果が良ければ、改善を加えて、さらに良い結果を得ようとします。結果が悪ければ、その原因を分析し、改善を加えて良い結果を得ようとします。企業も同じで、このような行動を繰り返して、組織を良い方向に運営しようとします。
 JAでも、総会で承認された事業計画に基づいて、執行部がそれを実行に移し、実行した結果を見直し、改善を加えて次の計画につなげていきます。JAの計画をつくり、それを実行に移し、その結果を見直すのは、執行部の重要な役割です。
 JAは合併によって巨大組織となりましたが、経営の基本であるPDCAを適切に回すことで、組合員のニーズに応えて行くことが重要です。

◆あらゆる仕事はチェックから始まる

 今秋の第26回JA全国大会では、「Cから始まるPDCA」がテーマになっています。これは何を意味するのでしょうか。
 あらゆる仕事はC(チェック)から始まるのですが、JAでは、これまで仕事の内容がチェックされてこなかったのでしょうか。あえて今回、この当たり前のことがテーマになっているのには理由があります。
 その理由は、JAの経営体質の改善にありそうです。JAの経営体質は一言でいうと、経営責任が明確でないことです。JAは総合事業を営み、かつ補完組織としての連合組織を持っています。
 このことは、JAの強みですが、半面で弱みになっています。総合事業として信用・共済事業を営むことは、ともすれば経済事業の赤字の改善の障害となり、連合組織を持つことでJAと連合組織との間でのコスト意識の希薄化を招きます。
 今回の「Cから始まるPDCA」の提案は、実はこのような事情からくるJAの経営責任を明確にする取り組みを意味しています。したがって、今回の提案は、JAが持つ経営上の構造的な弱みを改善する取り組みであり、その実効をあげるには、相当の努力が必要なことをまずもって認識すべきでしょう。
 例えば、この取り組みは、計画の作り方から改善して行かなければなりません。計画は連合組織に頼らずJAの自前のものになっているのか、PDCAの最初は計画づくりであり、これがしっかりしていなければ有効なチエックもできるはずがありません。
 計画は組合員の意見を十分踏まえたもので、支店など現場の意見を反映したものでなければ本当に「Cから始まるPDCA」を実行して行くことは困難です。つまり「Cから始まるPDCA」は、従来の仕事のやり方そのものを見直し、改善することなのです。

◆仕組みの確立と意識改革

 また、経営責任の管理は、本店の経済部・信用部・共済部・営農センターや支店の経済課・信用課・共済課などを単位として行われます。したがって、PDCAを適切に回して行くには、適切な経営単位の設定と、経営を実行する人材が不可欠です。JAの場合、この経営単位ごとの経営責任のあり方が大変不明確ではないでしょうか。何においても子会社をつくり、これに経営を任せる風潮はこのことを物語っています。
 経営責任を明確にするには職務権限規定などの見直しも必要になってきますが、基本は、適切な経営単位の設定とそれを実行する役職員の意識改革・人材育成です。

【著者】福間莞爾
           総合JA研究会主宰

(2012.08.06)