09年より10%増
◆15年間で世界の1割がGMに
ISAAAは3月3日、東京でクライブ・ジェームス会長らが出席して「2010年 世界の遺伝子組換え作物の商業栽培に関する最新状況」を報告した。
1996年のGM作物商業栽培から15年経った10年の作付面積は、表のように09年より10%増の1億4800万haとなった。これは世界の作物栽培総面積15億haの約10%に相当するという。
また、GM作物を栽培している国は、09年の25カ国から29カ国へ4カ国増加した。10年に新たに栽培を始めたのは、パキスタン、ミャンマー、スウェーデンの3国とGMジャガイモで栽培を再開したドイツだ。
10万ha以上の作付をしている国は下表の通りだが、上位10カ国が100万ha以上の作付となっているが、09年に比べて、ブラジルで400万ha、アルゼンチンで160万ha増加していることが注目される。
またアフリカのブルキナファソや南アフリカの国でも栽培面積が増加しているISAAAでは2015年にはアフリカで最大10カ国でGM作物が栽培されると予測している。
◆59カ国でGM作物承認
日本のように自国でGM作物の商業栽培はしていないが、GM作物を輸入している国もカウントすると世界の59カ国がGM作物の使用を承認していることになり、その59カ国に住む人口は世界の75%を占めていることになるという。とくに発展途上国における栽培面積の拡大が著しく、中国、インド、ブラジル、アルゼンチンと南アフリカが中心となるとも予測している。
作物別作付面積は図の通りだが、今後の見通しとしては、乾燥耐性トウモロコシ(12年栽培開始)、ゴールデンライス(13年同)、15年開発目標のGMイネなどがあり、「GM作物は、作物生産を最適化することによって、貧困層を半分に減らすという目標にも貢献」し、「10億人もの人びとを飢えから救う」ことに大きく貢献するとクライブ・ジェームス会長は考えている。
【著者】シリーズ(7) 2010年の作付面積