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遺伝子組み換え農産物を考える

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ブラジルで490万ha増加 世界で1億6000万haに

・15年で栽培面積が94倍に
・急速に拡大する発展途上国
・乾燥耐性コーンやGMイネも近々に

 毎年、「世界の遺伝子組換え(GM)作物の商業栽培に関する最新情報」を報告している国際アグリバイオ事業団(ISAAA)は、2月14日東京で、2011年の世界のGM作物の作付面積などについて発表した。

◆15年で栽培面積が94倍に

 この報告によると、2011年の世界のGM作物の栽培面積は、1億6000万haとなり、10年の1億4800万haより1200万ha(8%)増加した。
 世界で始めて商業栽培された1996年の栽培面積は170万haだったので、この15年間で94倍に増大したことになり「遺伝子組換え技術は近年においてもっとも急速に普及した農作物技術といえる」(クライブ・ジェームスISAAA会長)だろう。
 11年にGM作物を栽培した国は29カ国で、そのうちの19カ国が発展途上国で、栽培面積1億6000万haの半分がこれらの国だという(下図)。

遺伝子組換え作物の栽培面積の推移


◆急速に拡大する発展途上国

 さらに11年の発展途上国のGM作物栽培面積の伸び率は11%・820万haで、先進国の5%・380万haを大きく上回っている。ISAAAでは今年中に、発展途上国の栽培面積が先進国のそれを上回ると予測している。
 こうした発展途上国のGM作物拡大はこれからも注目に値するのではないだろうか。
 こうした発展途上国の中心となっているのは、アジアの中国、インド、南米のブラジルとアルゼンチン、そしてアフリカの南アフリカだといえる。
遺伝子組換え作物の栽培大国 なかでもブラジルは、3年連続でGM作物栽培面積増加が世界最大で、10年から11年にかけては490万ha増加し、合計で3030万haとなり米国に次いで世界で第2位の栽培面積となった(右表参照)。
 ブラジルの耕作可能農地面積は5900万ha(ISAAA)というから、その51%でGM作物が栽培されていることになる。ブラジルにおけるGM栽培品目は、GM大豆が2000万ha(導入率83%)、GMトウモロコシが900万ha(導入率65%)、GMワタが50万ha(導入率39%)だという。
 インドではBtワタが栽培開始から10年目を迎え、栽培面積は1060万haと1000万の大台に達した。Btワタはインドにおけるワタ栽培面積の88%に達しているという。
 中国でもBtワタの栽培面積が390万haとなり導入率が71.5%に達し、栽培面積、導入率がともに過去最高を記録した。そして13/14年にフィリピンで予定されているゴールデンライスの商業栽培認可は「中国にとって大きな意味を持つと思われる」とISAAAは予測している。
 そのほかでは、米国においては6900万haでGM作物が栽培されているが、GM品種が実用化されている作物では、その導入率が90%近くに達している。また、日本では米国産ウイルス耐性パパイヤの生食用販売が昨年12月に認可されたこともトピックスとして報告された。
 またアフリカでは、南アフリカ、ブルキナファソ、エジプトの3国合計で250万ha栽培され入るが、ケニア、ナイジェリア、ウガンダではほ場試験が実施され今後が注目されている。
 複数の形質をもつスタック形質品種は、11年には12カ国で栽培され、そのうち9カ国が発展途上国だった。11年にはGM栽培総面積1億6000万haの25%以上にあたる4220万haでスタック形質品種が栽培され、10年より約1000万ha増加したという。

 


◆乾燥耐性コーンやGMイネも近々に

 ISAAAでは15年までにGM作物栽培国がさらに10カ国増加すると予測している。
 そして乾燥耐性を持つGMトウモロコシの新品種が、北米では13年に、アフリカでは17年までに商業化が開始されてる予定になっているという。
 フィリピンでは13/14年にゴールデンライスが商業化または商業栽培される予定であり、中国ではGMトウモロコシが3000万haで栽培が可能であり、Btイネ栽培の可能性があるとみている。

           シリーズ(12) 2011年の作付面積

(2012.02.22)