全国にコンビニエンスストアを展開する(株)ローソンは7月29日から国産米粉100%使用の「あんぱん」、「シフォンケーキ」、「蒸しパン」を関東地区2251店舗で発売。また、9月9日からは全国の店舗でも発売。大手パン製造メーカーや全国チェーンの小売店で国産米粉100%商品を全国的に販売するのは初めてのこと。
同社によると最近の食品では「ふわふわ」、「かりかり」など「食感」をアピールした商品が消費者に支持されているといい、今回の米粉パンも小麦粉原料のパンとは異なる食感の米粉商品づくりとして考えたという。
それを実現したのが製粉技術の進歩。同社と提携する製粉工場では米粉を小麦粉よりも微細な粒子にする技術開発に成功したという。パンに使用される強力粉の大きさは100ミクロンだが、新技術による米粉はその半分以下の40ミクロン。これによって粉の水分含有量を少なくすることができ、加工したときに膨らまない、ぱさつく、時間が経つと固くなるといった従来の米粉の課題を解消、「この大変な技術革新で全国発売が可能になった」と同社の森山透専務は話す。
肝心の食感だが、試食した感想でいえばまったくパンとしての違和感はない。むしろもっちり感やみずみずしい感じもある。蒸しパンは、色が小麦粉原料のものより米特有の白さが際だつ。
栄養価を示すアミノ酸スコアは、強力粉の38に対して米粉は60と栄養価も高い。同社によるとカロリーはあんぱん一個300kcalで小麦粉のパンとほとんど変わらないという。
9月からの全国展開では「シフォンケーキ」に代わり「平焼きカレーパン」とトーストで味わう「ミニブレッド」の計4つの品揃えで販売する。価格は一個130円(あんぱん)〜200円(ミニブレッド)。
◆精米1万トン利用の見込み
米粉用の原料米は、豊作時対策(集荷円滑化対策)として米穀安定供給確保機構に区分出荷された米(現物弁済米)から調達。同機構からの販売価格は1トン約8万円となっている。米粉の製造過程は(1)原料米の水洗い、(2)米を軟化させる水漬け、(3)粉砕に適した状態まで水切り、(4)気流による粉砕、(5)高温熱風による乾燥、(6)異物除去、グルテン添加などの調整、を経る。
同社は全国販売に向けて製粉メーカーから契約している各地の製パン製造業者に米粉を供給し、米粉パンを全国で製造する体制をつくる。
同社によるとパンの月間販売数は全体で約2000万個だという。米粉パンの月間売り上げはこの1割の200万個をめざす。今年9月からの1年間で精米ベースで1万トンの米利用となる見込みだという。米粉の利用は平成15年度の1000トンから18年度に6000トンへと大きく伸びたが、ローソンの米粉ビジネス参入で使用量が一気に増えることが考えられる。
商品開発して分かったのは「和」の素材との相性のよさ。現在10種類ほどの商品化を準備しており、毎月、少しづつ販売アイテムを変更していくという。
「似て非なるものができたのでは。新しい食品ができたと認識してもらえれば(小麦粉パンと)売り場で両立できるのはないか」と同社。森山専務もパンのなかでの小麦と米の棲み分けではなく「パンの売り上げに純粋にオンさせたい」と意気込んでいる。