◇有害なものは一刻も早く体外へ
人間、何を食べるかよりも何を食べないかのほうが大事なことがしばしばあるように、溜めるばかりでなく、体内に溜めておいてはいけないものにも気をつけないといけません。有害なものは一刻も早く体外へ出してしまうに越したことはないのです。
有毒なものを食べると吐いたり下痢をしたりするのは体の自衛反応です。腐った食物などに対し体は自然に自衛しようとしますが、これは人類何万年もの食の体験から体が覚え込んでいるからです。
ところが有機水銀やカドミウムのような有害な重金属が入り込んでも、たかだか数百年の付き合いしかない物質を体が自動的に有毒と判断するには経験が到底足りません。
したがって有害物質を体外へ追い出すための食生活や生活スタイルは、まだ当分は必要です。
最近よく聞く「デトックスdetox」は「飲食を通じて有害物質を体外へ排出すること」(COD)ですが、「排毒」という単語はどの国語辞典にも見当たりません。意外に新しい言葉なのでしょう。「解毒」は載っていますが、ちょっと意味合いが違います。
◇食物繊維をとり規則正しい排便を
腐敗した食物(特に肉など)が便秘などで大腸に残ると、毒素が血液の内部に入って体内を駆け巡り、とりわけ腸ガンのリスクを増大させます。毒素は血液に乗って内臓、関節、脳、皮膚、毛髪、どこへでも溜まり、顔を出すわけですから、規則正しい排便こそ排毒の王道と言ってよいでしょう。
そこで便秘にまつわる昔からの言い伝え、ことわざをいくつか。極めつけは「便秘は万病のもと」ですが、ほかにも「里芋は便秘の妙薬」「コンニャクは体の砂払い」「便秘に小豆」「昆布は通じの縁結び」「3日通じがなかったらゴボウを食べよ」などいくらでもあります。
ここで何より大事なのは食物繊維です。野菜、果物、海草、未精製穀物を多く食べることで、滞留物が繊維質とともに体外へ向かいます。同時に重金属などの有害物質も一緒に押し出されます。
食物だけでなく適量の水分摂取、適度な運動や入浴、規則正しい生活、過剰なストレスの回避なども心がけましょう。
◇利尿効果がある小豆もおすすめ食材
排尿も排毒にはきわめて重要で、腎臓機能の低下で尿毒症になると、尿とともに排出されるべき有毒物質が血液中に溜まり各種の障害を引き起こします。
その点でわが家一番のお勧め料理はカボチャ汁粉です。小豆の汁粉にほくほくカボチャが入っただけのものですが、砂糖なしの甘塩一振りでほのかな甘みが楽しめます。
小豆は便秘にいいだけでなく、利尿効果も十分あります。何より赤い色が昔から厄払いとして信奉されてきたところが立派です。陽性の小豆を食べることで人々の気分も明るくなったのではないかと想像します。
ほかに利尿効果のある食品としてはスイカ、トウガン(冬瓜)、キュウリ、ナスはじめ果物の多くやトマトやニンジンのジュース、コーヒー、紅茶などがあり、どれもある程度は実感できるはずです。
尿からは老廃物やさまざまな有害物質が排出されていきますから、頻尿がいやだといって水分を減らしたり利尿の効く食品を避けたりしないようにしたいものです。
逆に今の若い人たちは四六時中、ペットボトルの世話になっていて、水分の取りすぎが心配なほどです。これは、外食やらスナック菓子やらでノドが渇くためかもしれません。無意識のうちに体がリンやナトリウムを排出しようとしているのでしょう。
ところで排毒は発汗や吹き出物でも、そして毛髪からも行われます。そしてまた排毒は解毒でもあって、肝臓などによる解毒作用にも注目しなければなりませんが、紙数が尽きてしまいました。この続きはまた次回に。
経済倶楽部理事長