◆消化を助け化学反応の触媒に
今日は酵素の不思議についてお話していきます。動植物には必ず酵素がありますが、人間の唾液にはアミラーゼという酵素が含まれていて炭水化物を消化するのだと、昔、理科で勉強しました。
胃液や、すい臓から出るすい液にも酵素が含まれています。酵素は消化を助けるだけでなく、体内で起こるさまざまな化学反応に触媒の形で作用したり、複雑な働きをします。
つまり体内で化学反応を起こさせる働き(あるいは化学反応をスムーズに起こさせる働き)をつかさどる生命体みたいなものだといってよいでしょう。
ですから酵素が不足すると、体のバランスは崩れていき、がん、心臓病、血管障害、アトピー、喘息など多くの症状が引き起こされることになります。
野生動物は草や葉、果実、魚、貝、昆虫、小動物から酵素を摂取します。彼らが、人間のようなさまざまな現代病にかからずにすんでいるのは、もっぱら酵素のおかげかもしれません。
人間と他の動物との最大の違いは、火を使うか使わないかです。つまり野生動物は生食によって酵素をたっぷり摂取しているために、単純化していえば人間ほど病気にならないのです。
◆長寿村では発酵食品をよく食べる
これに対し、人間は熱処理した食品の割合が増える一方です。そのため酵素は熱で破壊されてしまい、酵素の摂取量はどんどん減って、体内酵素が不足してしまったのです。
極論すると、すべて生食で酵素たっぷりの動物は、簡単にはがんや心臓病、アトピー、喘息にはなりません。
もちろん酵素さえ多量に摂取すれば健康というほど単純ではなく、食物の量や質、運動やストレスなどさまざまな要素が人の健康、不健康の境を分けているのですが、酵素の量は決定的に重要です。
最近、SOD(抗酸化酵素)が活性酸素の害を防いでくれることが注目されています。スーパーラジカルともいう活性酸素は、細胞や遺伝子を傷つけることでがんやさまざまな臓器疾患を発生させ、あるいは遺伝に悪影響を及ぼします。
ですから、生野菜、果物、生海草、刺身、発酵食品(納豆、味噌、醤油、酢、漬物、ヨーグルト、チーズなど)を十分に食べて、活性酸素の働きを抑えることが重要なのです。
昔から長寿村と言われていたところは、これら発酵食品をよく食べていたことが知られています。
◆刺身のツマは独り占めしよう
酵素を生食でたくさん取るということは、現代では必ずしも容易ではありません。生野菜や果物ばかりでは栄養不足になってしまうし、特に生野菜は見かけの割には食べられる量は知れています。
刺身もいいですが、大根や海草などのツマをしっかり食べるのも酵素を取るに好都合です。刺身の盛り合わせが出たら、刺身は譲り気味にしてでも、ツマを独り占めするのが私のモットーです。それで酵素(やビタミン、ミネラル)がたくさんいただける、ありがたいことだと。
コメや麦の胚芽にも酵素はたっぷりあって、健康のもとでもあります。ただしコメや麦は高温で炊くかパンや麺類として加工されるので、酵素は生き残れません。胚芽酵素などの名で抽出されているものも効果がある場合もあります。
栄養学で軽視されてきた酵素が、実はビタミンやミネラルに劣らぬ重要な役割を演じていたのです。
火を使うことはおいしい料理をもたらしてはくれますが、健康に生きていくためには生食も大事です。レトルト食品や缶詰ばかりではいけません。
熱処理した加工食品ばかり食べさせられている犬や猫で犬猫病院が賑わっているのも、酵素ゼロのペット食のおかげだろう、と申し上げると、事の重大さがじわじわと迫って来はしませんか(こない方も、朝夕の発酵食品と、朝食での果物を心がけましょう)。
経済倶楽部理事長