◆果物では「when」(いつ)が重要
「朝の果物は金、昼は銀、夜は銅」と親が言い、わが家では私が子供の頃から夜、果物を食べることはほとんどありませんでした。(イギリスの格言では、夜は鉄とか鉛だったかも)。
食物の「5W1H」(what,where,who,when,why,how)はみな重要ですが、果物ではwhenがいちばん重要です。つまりはいつ食べるかですが、まず「時間帯」でいうと、果物は朝か午後が最良です。水分と食物繊維が多いので、朝なら胃腸を刺激し気分も爽快になります。
夜の果物が良くない理由は、消化に問題がある、水分が多い、おなかを冷やす、果糖が肥満につながる、などが考えられます。特に子供や老人は夜の果物は避けたいものです。
夜であれば、生の果物でなく、ハチミツやショウガを加える、焼くなどの簡単な加工をして食べるのがいいでしょう。
さて、もう1つのwhenは「季節」です。果物は陰性の食物ですから、初夏から初秋までが食べ時で、暑い季節なら果物で体を冷やしてもそれほど問題はありません。
最近はバナナやパイナップルだけでなく、マンゴー、パパイヤなどのトロピカルフルーツが目立ちますが、これらは熱帯にこそふさわしい果物です。今年のような猛暑ならともかく、普段は控えめにしましょう。
◆生食で豊富なビタミンや酵素を
肉料理に添えられたパイナップルやデザートのパパイヤは動物性蛋白を消化する酵素を期待する合理性がありますが、缶詰のパイナップルには消化酵素はないので念のため。
陰性の度合いが強いものとしては熱帯系果物のほか梨、イチジク、メロンなどがあります。リンゴ、さくらんぼ、ミカンは陰性の度合いが弱いので、体を冷やさないという点からはリンゴかミカンがお勧めです。
さらに日に当てて干し、陽性の度合いを増すことで、果物も冬向きになります。干し柿、干しブドウ、その他のドライフルーツがそれです。
ただし、果物の良さは豊富なビタミンや酵素ですから、陰陽以前に生食の良さは極めて重要です。酵素の働きについては前々回に詳しく述べたので繰り返しませんが、沖縄に長寿が多かった一因に、果物から酵素を多く摂ってきたことがあるかもしれません。
◆代表的な果物の特徴は
個々の果物の特徴をごく簡単に紹介してみましょう。
イチジク 痔や便秘に効果がある。ただし食べすぎは腸を冷やして下痢につながる。
柿 ビタミンCが多いので風邪、美肌、ストレスによく、酒の飲みすぎにも効果があり、ナマスなどは酒の肴に好適だ。産後、病後は控えめにしたい。
梨 特にのどの症状(渇き、咳や痰、声枯れ)に効く。解熱や利尿にもよい。
バナナ カロリー補給には好適で、運動の前後に適している。陰性が強く冬には控えめが好ましい。
ブドウ 糖質が多くすぐエネルギーに変わるので疲労回復に好適だ。ミネラルも多いので体のバランスを保つによい。
ミカン ビタミンCが多く免疫力を高めて風邪を防ぐ。袋の筋ごと食べれば食物繊維も補充される。
桃 水分と繊維が多いので便秘にいいとされる。血行を良くするので肌にもいいとされる。
リンゴ 果物の中では陰性度が最も低く、風邪、胃腸疾患、ストレス過多など、いろいろな症状に適している。子供の病気にはすりおろしたものをフキンでこしたジュースがよい。
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というわけで、果物はビタミンやカリウム、酵素が豊富なので、朝か午後、楽しみながらいただきましょう。ただし体を冷やしすぎないことが肝心です。
日本は世界に冠たる果物王国です。味は最高で、外観もすばらしい果物がこれほど多様に生産され食される国はありません。いつ食べるか気をつけながら、健康な体づくりに活かしたいものです。
経済倶楽部理事長