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「食は医力」

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第24回 彩のよい食卓は食欲をそそり栄養バランスもよい

・すべての食べ物が灰色だったら
・食材の性格と色の深い関係
・緑黄色野菜が不足しないように

 食物は舌だけで味わうものではありません。もし食べ物がすべて灰色だったとしたら、食をどこまで楽しめるか、ちょっと想像してみてください。
 昔から料理と色取り(彩り)は深くかかわってきました。刺身の脇に大根の真っ白な千切りと緑の大葉、それに赤や紫の海藻が添えられることで、食欲は大いにそそられるわけです。彩りが良ければ唾液の分泌も増えて消化が促されます。

◆すべての食べ物が灰色だったら

 食物は舌だけで味わうものではありません。もし食べ物がすべて灰色だったとしたら、食をどこまで楽しめるか、ちょっと想像してみてください。
 昔から料理と色取り(彩り)は深くかかわってきました。刺身の脇に大根の真っ白な千切りと緑の大葉、それに赤や紫の海藻が添えられることで、食欲は大いにそそられるわけです。彩りが良ければ唾液の分泌も増えて消化が促されます。
 色は寒暖とも関係があります。夏の暑い時には食欲減退を清涼感で補うとか、寒い冬には暖色で温かみを演出する、といった具合です。
 白いそうめんにピンクのさくらんぼを浮かせたりするのは前者の例だし、茶系統の多いおでんや鍋物は後者に該当するでしょう。

◆食材の性格と色の深い関係

 しかも、色には見た目以上の意味があります。食材の持つ性格が色と深く関係していることが多いのがそれです。
 マクロビオティクスでは、赤やオレンジ、黄色に近いほど陽性の食品が多く、虹の下側である紫や青、緑に近いほど陰性のものが多いと言われています(ただし色だけで陰陽が決まるわけではないので念のため)。
 陰陽説では、陽性な食品は体を温め、性格を積極的で活動的にし、気分は闘争的にする。陰性な食品は反対に体を冷やし、性格は消極的で静止的に、気分は協調的にする。マクロビオティクスはこう教えています。
 具体的にいうと、肉類は赤く陽性(ナトリウムが多い)、緑の野菜や紫色の果物やナスは陰性(カリウムが多い)とされ、陰陽のバランスをとることが大事だというのです。
 揚げたり焼いたり日に干したりすると、大抵の食品は茶色くなったり、野菜の緑が薄れたりしますが、これは陰性の度合いが減り陽性になることと無関係ではないようです。
 陽性の食品を食べすぎると、一時的には元気旺盛になりますが、行きすぎると闘争心が強くなりすぎて人と協調しにくくなったり、気分が変動しやすく、子供が特にそうですが落ち着きがなくなったりします。
 かといって陰性の野菜や果物ばかりだと、気分は落ち込み、やる気がなくなって、消極的、受動的になり仕事ははかどりません。

◆緑黄色野菜が不足しないように

 栄養素のバランスが大事だとよく言いますが、その際、個々の栄養素のバランスを心掛けるというのは案外面倒なので、毎日、最低30品目を食べることが推奨されています。
 それでももちろんいいのですが、品目数ではなく、いろんな色合いの料理、食材を取るという手もあります。悪い例でいえばラーメン、鶏のから揚げ、ポテトフライ、コーラかコーヒーというのでは茶色ばかり。これではとてもバランスのとれた食事とは言えませんね。
 ついでに言えば、食物の色で最も重要なもののひとつが葉緑体の生み出す緑色で、緑黄色野菜が不足しないよう常に心掛けたいものです。野菜の緑はビタミン群やミネラルが多い、食物繊維が多い、酵素が多い、など私たちの健康には欠かせない色です。
 また赤黄色い野菜や果物、卵黄にはカロチン(ビタミンA)が豊富に含まれています。
 というわけで、折角の家庭料理では彩りも考えて食材を選び、調理すれば栄養的にバランスのとれた食卓になるばかりでなく、雰囲気も盛り上がるはずです。
 おいしそうに見えすぎて家族が食べすぎるようでは困りますけれども、食べすぎが心配なほど料理が上手なお宅では、ちょっと手を抜けばいいのだから、対策的にはそう難しくはないはずです(下らぬ冗談ですが)。
 ということで、折角の大事な食事ですから、彩りには十分気をつけて家族で楽しく食が進むように、そして結果的にバランスの良い食事になるようにしていきたいものです。

【著者】浅野純次
           経済倶楽部理事長

(2011.03.01)