◆免疫力を高めるのが効果的
福島原発事故以来、空気、水、土、食品の放射能汚染を心配する動きが広がっています。確かに目に見えず、臭いもしない相手だけに、不安にかられるのは無理からぬところがあります。
ただし大抵のデータはその数値(マイクロシーベルト)を24時間×365日、浴びたり吸収したりした場合、危険かどうかということなので、長時間の被曝や大量摂取に気をつけようということだと思っています。
子どもや妊婦は用心するに越したことはないのですが、中高年なら甲状腺ガンのリスクはごく小さいでしょう。ガン発症でいうならほかの誘発因子のほうが重要です。
週刊誌などに「食べてはいけない食品」などの大見出しが躍っていますが、風評被害を引き起こさない程度に、賢く対応していきたいところです。
気になるのであれば、野菜はよく洗い、皮をむき、煮汁は捨てましょう。本来なら表皮や煮汁は栄養面から大事ですが、気にしながら食べても体によくないですからね。わが家はどこ産であっても皮ごと食べています。
魚介類は、大型魚は食物連鎖で汚染度が高くなりますが、まだその段階ではないでしょう。近海魚は出荷制限がされていない限り問題ないはずで、神経質になりすぎると健康にはかえってマイナスです。
この連載で第14回にデトックス、排毒について述べました。この考え方も必要ですが、放射性物質は排毒される以前に臓器や遺伝子などへ作用するので、むしろ免疫力を高めることが効果的です。
◆塩は強い陽性食品 放射能は極陰に
放射能汚染ですぐ思い出したのが30年以上前に勉強したマクロビオティクス(食養理論)の話の中で出てきた、秋月辰一郎医師の体験でした。
秋月さんは長崎に原爆が投下された際、爆心地から1キロ半のところにあった病院で被爆したのですが、職員や患者にたっぷり塩をまぶした玄米のおにぎりと、ワカメの味噌汁を食べ続けるよう指示しました。その結果、被爆の被害をほぼ食い止めることができたというのです。
味噌も塩分が多いですが、この塩というのが深い意味をもっていました。マクロビオティクスでいう陰陽では、放射能は極陰に位置し、塩は強い陽性の食品になりますから、体を陽性に揺り戻して、放射能の害を打ち消すことに効果があったのです。
塩はミネラルを十分含む自然塩、味噌は国産大豆を半年以上、熟成したものでした。これは今でも大事なことです。
玄米も主食の中では最も陽性度が高いことと、玄米の総合的な栄養素が排毒や免疫強化にプラスしたと考えられます。
◆新陳代謝を活発にする沃素
さらにワカメなど海草に含まれる沃素は、甲状腺に取り込まれてホルモン分泌を促し新陳代謝を活発化するため、体調維持に寄与します。
反対に、甲状腺に沃素が不足していると、そこへ放射性セシウムが吸収されやすくなります。海苔、ワカメ、昆布、モズクなど健康に大事な海草は、セシウム忌避にも効果があります。原発事故の後、韓国で海苔の買占めが起きたのはそのためでしょう。
カリウムも沃素と同じような働きをすることがわかっています。ただしカリウムが多いナス、キュウリ、葉物などの野菜は(海草もそうですが)陰性なので、放射能対策という点では煮物などで食べたほうが好ましいのです。
なお抗生物質、抗がん剤、化学添加物、白砂糖などは極陰性なので、放射能を心配する人は避けるべきです。子どもの被爆を心配しながら添加物たっぷりの菓子や飲み物を与え続ける親は矛盾した行動をとっていることになります。
最後に一言。アルコール類は基本的に陰性なので、放射能が心配な人は(心配でなくとも)飲みすぎに注意しましょう。
経済倶楽部理事長