◆朝の定番はショウガ紅茶とニンジンジュース
体を温める健康法とかでショウガの人気が高まっています。ジンジャー何とかという飲料や食品がたくさん登場し、サプリメントの広告も非常に目につくようになってきました。
寒さが本番を迎えようとしている際でもあり、今日はショウガについて考えてみたいと思います。
「体を温めて治す」本をいちばん書いているのはたぶん石原結實先生でしょう。以前、私の働く経済倶楽部で講演してもらったときも、ショウガの効能を力説されていました。
特にお勧めだったのがショウガ紅茶で、以来、わが家でも朝はこれとニンジンジュースが定番になっています。
ショウガ紅茶というのは、紅茶にショウガの下ろしたのと黒砂糖を加えただけのものですが、確かに体が温まって体調もいいようです。
◆「ひねた」ほうが価値が高い
ショウガには生ショウガとひねショウガがあります。ショウガは生姜と書くので生生姜(生ショウガ)というのはなんだかおかしな感じですが、新ショウガは6月から8月頃まで。寿司屋のガリはこれを使います。
ひねショウガは「ひねた子だね」などというのと同じ語源で、「ひね」は収穫から1年くらいたった野菜などに用いられます。
ショウガが体を温めるのは、ジンゲロンという物質のおかげです。ジンゲロンは商標名で、正しくはバニリルアセトンと呼ぶべきですが、今回は通称のジンゲロンでいきます。
さてこのジンゲロンですが、ショウガの根や茎に含まれていて、血の流れを良くし、発汗作用を強く促すことで体を温めるのだそうです。
ジンゲロンは取りたてのショウガには含まれないそうで、緑の葉のついた酢漬けなどには体を温める働きはないことになります(人はともかくショウガに限ってはひねたほうが価値が高いようで)。
◆カゼを引いたら「根深雑炊にショウガ酒」
漢方にはショウガは欠かせない存在で、生姜(しょうきょう)とか乾姜(かんきょう)と呼ばれます。特に漢方の胃腸薬や感冒薬には必ず入っています。
姜(きょう)というのは元来「百邪を防ぐ」という意味があったようで、風邪などはさしずめ百邪の最たるものだったのかもしれません。
ショウガには抗酸化作用があって未病に良いとされているのも、体を温めることと大いに関係しているのでしょう。
わが家ではカゼを引いたらしい、胃腸の調子が悪い、頭痛がする、などというときにはショウガが活躍します。
大根とひねショウガを下ろして醤油を若干加え、熱い番茶を注いだものをふうふう言って飲んで寝てしまえば、症状が初期なほど翌朝には消えています。
昔からカゼを引いたら「根深雑炊(ねぶかぞうすい)にショウガ酒」とも言われてきました。根深は長ネギのことで、熱めの焼酎にショウガを下ろして加えるのも体が温まります。酒飲みには最もありがたいカゼ薬と言えるでしょう。
◆最近は便利な粉末も登場
ジンジャーはショウガのことで、ジンジャーエールとかジンジャーエイドなどで知られますが、最近はショウガと言わずジンジャーを使うことが多くなってきました。英語のほうが格好いいからでしょうか。
試みに英和辞典を引くとgingerには(1)ショウガ、(2)褐色、(3)活力、(4)赤毛の人とあり、動詞には「ショウガ風味をつける」「元気づける」とあります。かの地でも薬効が認められてきたのでしょう。
最近、「金時ショウガの粉末」を見つけて重宝しています。少々高いけれど、何にでも簡単に使えるのはありがたいことで、例のショウガ紅茶もこれですませています。
金時ショウガには、普通のショウガの数倍のジンゲロンが含まれるとかで、体がよけい温まるような気がしています。数倍、温まっているかどうかは定かではありませんけれど。
経済倶楽部理事長