◆非現実的な仮定 1kg×365日=100ベクレル
原発事故のせいで原木シイタケがなかなか店頭に現れません。たまに現れても価格が安めのようで、風評被害で消費者が買い控えているせいではないかと気になっています。
菌床栽培のものは屋内生産ですから影響はないようですが、原木シイタケの農家は相当に苦労しているだろうと思い、今回は応援の意味も込めてシイタケと健康の話を書いてみようと考えました。
原木の話を少し続けると、福島産のクヌギやコナラは昔から原木としての評価が高く、これを使ったシイタケが全国各地で生産されてきたのですが、その原木がセシウムの基準値を超えているというので利用できないのです。
原木シイタケは群馬、栃木、茨城の北関東三県と、静岡、岩手、熊本が主産地です。わが家では原木シイタケを見つけると2、3パック買い求めて煮るか炒めるかしていただくのですが、基準値を「100ベクレル以下」としたために、これをなかなかクリアできないようです。
「100ベクレル」というのは日に1キロを365日食べるという非現実的仮定で内部被爆が年に1ミリシーベルトに達するという意味ですが、「0でないと不安症候群」からすると、この基準値は長期的に変わることはないのでしょう。
原木でも菌床でも出回っているものは心配はいらないので、シイタケの薬効を食生活の中で生かしていきたいものです。
ただし生シイタケでいうと、菌床の3割は中国産が占めていて、産地証明のいらない外食、中食の場合は、中国産が利用されていることが多いようなので念のため。
◆糖尿病・動脈硬化にお勧めの食品
さてシイタケの効用ですが、(1)高血圧や動脈硬化を防ぐ、(2)糖尿病や高脂血症を抑える、(3)肝臓を強くする、(4)便秘を防ぐ、(5)熱を下げる、(6)女性ホルモンの働きを強める、などが言われています。
シイタケは糖尿病、動脈硬化には特にお勧めの食品であり、中高年には多めに摂っていただきたい健康食品の一つです。
干しシイタケでもいいのですが、シイタケをじっくり煮込んだ煎じ汁は薬膳では必須のもので、肝臓を強めるほかに、万病に効くと言われて重視されてきました。
煎じ汁までいかなくとも、シイタケを味噌汁に入れる習慣を取り戻したいものです。わが家では毎朝の味噌汁に干しシイタケ、ワカメ、葉物がたっぷり入っています。毎晩、欠かさず晩酌をしながら肝臓の状態が良いのはシイタケのおかげだろうと勝手に感謝しています(我田引水の類かも・・)。
シイタケは陰陽でいうと陰性が強いので、肉をよく食べ、高血圧、動脈硬化、狭心症、脳卒中、腎臓病など陽性系の症状の人には非常に効果的です。
◆ダイエット派には干しシイタケが
陰性なので熱を下げるのにもよく使われてきました。わが家でも、子どもが夜中に高熱を出したときなど、救急車を呼ぶほどのこともないと思えば、家内が夜半シイタケを煮出しその汁を飲ませて対応していました。
ですから体重を気にするダイエット派、つまり陰性タイプの痩せ型、青白く元気のない人は、陽に干して陽性度が高まっている干しシイタケのほうが好ましいでしょう。
もちろん生シイタケもよく煮るかたっぷり炒めれば、陽性化するので、あまり気にすることはありません。
もう一つ、シイタケは最近、ガンに効くとして注目されています。日々、シイタケを食べていればガンを未然に防ぐのにも効果があるかもしれません。
抗ガン剤も放射線もなかった東洋医学では、その抗ガン効果には古くから着目していたようです。「食物成分表」には原木と菌床の区別はされておらず、これは私の全くの勘ですが、原木シイタケのほうがガンへの薬効は高いような気がしています。菌床シイタケが生産され始めたのはここ25年くらいのことでもあるし・・。
経済倶楽部理事長