25カ国、1300万人が栽培
作物のバイオテクノロジー応用を進める国際的な非営利団体、国際アグリバイオ事業団(ISAAA)は2月11日、2008年の遺伝子組み換え作物の栽培面積が1億2500万haとなったと発表した。昨年より1070万ha増加し、世界25か国、1330万人の農業者が栽培しているという。
同事業団の報告では、世界的な食料需要の高まりを受けた世界各国の政策意欲を背景に、遺伝子組み換え作物は「第2の成長期に突入した」としている。事業団のクライブ・ジェームズ会長は「世界の政治リーダーたちは食料安保の鍵として遺伝子組み換え作物を前向きに捉えている」としている。
たとえば、中国では温家宝首相が「食料問題解決のためには科学技術に大きく依存しなければならない。それは遺伝子組み換えでありバイオ」と語り、約3100億円の研究開発費の追加約束をしたという。すでに野外試験をしている遺伝子組み換えの米は、中国の4億4000万人の食料確保につながり、農家収入が上がることも期待されている。
ジェームズ会長は遺伝子組み換え作物は「作物の収量を上げて食料確保と供給増をもたらし、また、生産コスト低下で食料価格引き下げにつながる」と人口増加する世界の食料安保に貢献することを強調している。
また、同事業は08年にエジプトでBt(害虫抵抗性)トウモロコシ、ブルキナファソでBtワタの栽培が始まったことを指摘、98年から遺伝子組み換え作物を栽培している南アフリカとともに、アフリカは「もっとも恩恵を受ける地域、将来の見込みは有望である」としている。
海外で増加を続ける遺伝子組み換え作物。19年度の「食料・農業・農村白書」は「非遺伝子組み換え作物に対する需要が高いわが国にとっては今後、その安定的な確保が困難となる可能性も考えられる」と指摘している。
また、アフリカ地域研究が専門の明治学院大学国際学部の勝俣誠教授は「アフリカ諸国には、安全性の問題よりも、伝統的な種子の研究者が育たなくなり自国の農業発展を阻害する、とGM導入に反対の声も強い」と話している。