中央酪農会議が2月19日に公表したデータによると昨年12月現在の都府県の生乳出荷農家数は1万3796戸。07年からの08年の一年間で1233戸が減少した。単純に平均すれば1日に約3.4戸減少したことになる。06-07年では1209戸減少した。都府県では2年間で2400戸以上も減ったことになる。 05年までの減少率は3%台だったが、08年度には8%台にまで増えている。20年4月には生乳価格が1kgあたり3円引き上げられたが減少に歯止めがかかっていない。 図は05年を100とした全国の酪農家戸数の推移。実数では06年(4月)の2万8800戸が08年には2万4400戸になった。飼料価格の高騰は畜産・酪農経営全般に打撃を与えたが、自給飼料確保が難しく輸入飼料への依存度が高い都府県では酪農生産基盤は弱体化しており「これまでにない速度で廃業と生乳生産の大幅な減少が起こっている」(中央酪農会議)。 農水省の調べによると、北海道の酪農経営では飼料自給率は56%だが都府県では14%に過ぎない(07年)。 今年1月〜3月の配合飼料価格は国際相場の低下を受けてトン約1万2000円引き下げられたが、価格高騰以前のトン約42600円(06年10月)と比べるとそれでも約5万5700円の高水準だ(農水省データ)。加えて輸入乾牧草など粗飼料は、輸出国で生産面積が急減し高値となっているという。 この3月から乳価は1kgあたり10円も再引き上げが行われるが生産コストの上昇で「都府県の平均的な酪農経営の収支はかろうじて均衡する状況にしかならない」と中央酪農会議はみている。 飲料原料乳は国内で完全自給が求められるが都府県ではその安定供給が不安定になることも考えられる。 安定生産のためには飼料生産基盤の強化、飼料自給率の向上も大きな課題。20年度の畜産酪農対策では自給飼料の生産拡大に取り組む農家への支援策が実施された(1頭あたり年、都府県1万6500円プラス9000円(新規取り組み)、北海道5700円など)が決まった。こうした支援策は飼料用原料穀物の国際相場の影響を受けない生乳生産につながるだけではなく、生産コスト減にもつながり、長期的には安定供給のメリットが消費者に還元される。21年度畜産酪農対策は3月5日に決まる。
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