平成18年のデータでは、米(玄米)10kgの小売価格は3328円。このうち流通経費が1166円、生産経費(=生産者受け取り価格)が2162円となっている。米の小売り価格のうち約6割が生産コスト、約4割が流通コストだ。
生産者受け取り価格から肥料や農機具代、CEなどの利用料金といった経費を差し引くと、農業所得は529円。小売価格の16%にとどまる。農林水産省が家計調査、コメ価格形成センター、生産費調査などから推計した。
同省はキャベツについても推計しており、10kgの小売り価格が960円の場合、経費を差し引いた農業所得は136円、小売価格の14%となっている。野菜の場合は流通コストが6割を占める。
農業所得の増大を図るためには「農業経営費と集出荷経費の削減に努めていくことが必要だ」と農林水産省。すでに食料供給コスト削減に向けてさまざまな取り組みが行われている。21年度予算ではコスト縮減対策に112億円が措置されている。
また、JAグループの米穀事業では生産者・組合員手取りの最大化をめざし、県域共同計算経費を20年度までに60kgあたり2000円以下にする。20年産では対象全34県本部で達成することを目標にしている。そのほか、19年産からはJAごとの米穀手数料設定基準の一本化と10%削減を実施している。
国内の食品産業の市場規模は80兆円。国内の農林業業生産額は12兆円。生産・流通コスト削減も課題だが、付加価値を高めることや、食品産業と連携を強化することも農業所得増大の課題となっている。