20年度自給率は前年度より1%上がって41%になった。
国産大豆とさとうきびの生産増、一部の農産物の輸入量が国際価格の高騰で減少したことがおもな要因だという。とくに輸入チーズは4万トン減(▲18%)、搾油用の輸入大豆は45万トン減(▲11%)だった。
自給率が上昇したといっても、国産カロリーは前年比▲4kcalの1012kcal。米の消費が60kgを割ったのが大きい。
一方、供給カロリー(1人・1日あたり)全体は、前年比▲78kcal。2473kcalは昭和41年とほぼ同水準(下図)。分子(国産カロリー)も縮小したが、分母(合計供給カロリー)がそれ以上に減ったための自給率アップだということが分かる。輸入農産物の価格高騰がそのまま供給カロリー減に反映されたようだ。
だから、昭和41年と同程度といっても「食」の栄養バランスは当時とは大きく異なる。むしろ脂質摂取は増えるなどPFCバランスはかえって悪くなった。
消費者の間では価格重視で食を選ぶ傾向は強まっている。日本政策金融公庫の今年7月の消費者動向調査によると、20代、30代、40代では、価格重視の「経済性指向」が「健康」や「手作り」を抑えて食の選択理由のトップになっている。中国製冷凍ギョウザ事件で安心・国産への関心が高まった昨年とは様変わりした。
不況で食自体がやせ細り、しかも不健康になった--。今年度の自給率1%のアップは実はそんな実態の現れか。国産農産物をごく普通に食べられる経済構造にすることも大きな課題だ。それが農業の復権でもある。