JA全中の試算によると小売価格1680円の5kg精米のうち、生産者売上分は約60%の960円だが、生産コストは860円かかっている。したがって生産者所得は100円(20年産米で試算)だ。小売価格のたった6%である。
これをコンビニで販売されている1個105円のツナマヨおにぎりで試算すると、生産者売上分は16円、所得は約2円、1.6%にすぎない。これで米価が高いといえるのだろうか。
にもかからず、米価がもっと下がって半分になればおにぎりだって…、と思う消費者もいるかもしれない。が、生産者売上分16円がかりに半額の8円になったとしても、おにぎりは97円程度になるだけである。
TPP締結で関税がゼロになった場合、農水省の試算では国産の半額どころか、4分の1程度の輸入米が日本の米づくりの9割をつぶす。だから、おにぎりはもっと安くなるかも知れない。しかし、それによって農地は現在の5割程度に減り、農業が果たしている水と緑を守る多面的機能は3兆7000億円が失われる。そんな国の「かたち」に国民のどんなメリットがあるのだろうか。
(表)JA全中資料