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私と農業

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安全性への信頼確保は産学官連携で

その2(最終回)

 梅雨入りとなり、紫陽花の花が色鮮やかさを増してきた。今年は昨年から比較すると穏やかな天候で推移し農作物の生育も順調だ。我が家の千葉の家庭菜園も順調に育っているが、雑草との戦いはこれからとなる。

 梅雨入りとなり、紫陽花の花が色鮮やかさを増してきた。今年は昨年から比較すると穏やかな天候で推移し農作物の生育も順調だ。我が家の千葉の家庭菜園も順調に育っているが、雑草との戦いはこれからとなる。
 この地で菜園を始めた20年前は鬱蒼とした雑木林に囲まれた畑、近所の農家の方からはさすがに農薬会社に勤めているから、病害虫の被害もなく綺麗に作っていますねと褒められたこともある。しかしながら最近は両サイドで宅地化が進み、4軒の家が建つに及び、果樹・野菜類の防除はドリフト防止と散布の事前承認を得なければならなくなり、病害虫の防除も簡単にはいかなくなってきた。
 数年前には出張の関係もあり全く放置状態となり、三週間ぶりに畑に駆けつけた時、畑全体が緑になっているはずが、異常発生したヨトウムシに食い尽くされ真っ黒になっていた。
 思い起こすと25年前、赴任先の九州でトビイロウンカの異常発生により一夜にして黄金色の稲穂が見渡す限り坪枯れとなり、収穫皆無の事態に遭遇したことがある。
 一年間、汗水流して育てた農作物が一晩で全滅するだけの被害をもたらすことの自然の脅威と人間の営みの絶え間ない繰り返しが農業の原点かも知れない。
 享保17(1732)年の凶作は享保の大飢饉の端緒となり、今でも福岡・中州の川べりに飢人地蔵として祭られている。
 昨年から資源と食糧価格の高騰で、食糧確保と農業生産の基盤強化の論議が盛んになったが、現実は減反政策の見直しも陰を潜め、米価の値下がり、野菜・果物の価格も軒並み安く、農家経済への影響が心配されるこの頃でもある。
 世界的経済危機に押されるように、食糧問題の影が薄くなり、食の安全・安心のキャッチフレーズは活きているものの、安全性のコストに見合った農業経営論議が置き去りにされるのは残念である。
 中国餃子問題で改めて日本の国産農産物への信頼は増してきたが、より一層、日本の一般消費者の理解と支持が得られ、日本の農産物がもっと自信をもって日本国内のみならず、広く世界に向けて送り出せるように、農産物の安全性への信頼を高めていくことに産学官の連携と協力が望まれる。

その1はコチラから)

【著者】大内脩吉
           日本農薬(株)取締役会長

(2009.07.02)