バイオ燃料の拡大や人口増加、気候変動による生産量の低下などが結びついて起こった食料・エネルギー価格の高騰により、開発途上国では肥料や種子などの農業資材価格が急騰、食料の増産が妨げられた。
ドイツの世界飢餓援助機構(DWHH)は2007年10月に、世界中で8億5000万人が飢えに苦しんでいると発表した。直近の世界人口約67億2000万人に引き直すと、100人中約13人が飢餓人口となる。特にサハラ以南のアフリカやアジア南部では災害の影響も受けているという。FAOは現在35か国で農業資材の供与による食料生産支援をおこなっており、今後も支援を拡大していく予定。食料不足国には予算面での支援のほか、農村のインフラ整備により小農が市場機会の恩恵を受けられるような中・長期的農業投資も必要と、同Newsletterは結んでいる。
世界の飢餓人口を減らすため、1996年のFAO世界食料サミットで採択された世界食料安全保障のためのローマ宣言では「2015年までに栄養不足人口を現在の半分にまで低減させることを当面の目標とする」とうたっている。当時の世界人口は約60億人で、飢餓人口は100人中13人にあたる約7億9000万人だった。人口の増加がハイペースですすんでいるのと食料価格高騰で、1996年から11年たった現在も、飢餓人口比率はほとんど変わっていないようだ。
10月16日は世界食料デー。FAOは今年のテーマを「世界食料安全保障・気候変動とバイオエネルギーの課題」と決めている。深刻化する気候変動やバイオ燃料が食料生産に与える影響について、世界的な関心を高めることが目的。10月14〜17日には世界食料デーに合わせてローマで世界食料安全保障委員会が開かれ、世界の食料をめぐる課題が話し合われるという。急激な食料価格高騰と飢餓人口の増加は、FAOにとってあらためて大きな課題になっている。