534組織を抽出して昨年8月までに調査票を回収した。有効回答率は72%だった。
調査結果のうち20年度収支を見ると、黒字の集落営農組織が67%と過半を占めた。収支差し引きゼロは18%、赤字は11%。
組織の運営は「円滑だった」が41%、「課題は様々あったが、何とか克服できた」が52%と、概ね良好だった組織が計9割以上。
今後の経営発展の取り組みは、いずれの組織形態でも「省力化などによるコスト低減」「経営規模の拡大」「新規作物の導入」を多く挙げ、また法人では「農産物直売など販路の拡大」を挙げた割合も高い。
◇大半が米販売
集落営農組織の構成を見ると20〜30戸層と30〜50戸層の割合がともに20%と最も多く合わせて4割となる。
地方別では北陸がより小規模な10〜20戸層の割合が高く、逆に近畿ではより大規模な50〜100戸層が多いといった特徴が見られる。
経営面積では30〜50ha層の割合が最も高く、20〜30ha層の組織と合わせると57%と半数を超えている。東海、近畿、中四国ではこの規模層に加えて20ha未満層の割合も高い。
組織として販売している作目は、米だけが13%、米・麦・大豆が80%で、ほとんどが米を販売している。穀類の販売の有無に関わらず野菜・果物・花を販売している組織は27%。
構成員が独自に販売している作目は野菜・果物・花が53%、米が44%、畜産が15%。
多くの組織が麦・大豆や米の販売を組織での扱いとし、青果や畜産などは構成員の扱いとする棲み分けをしていることが調査結果からうかがえる。
◇多角化目指す
事業の多角化では直売をしている組織が13%、農産物加工が5%となり、「その他」を含めて何らかの多角化をしている組織は全体の2割で、「今後、加工・直売に取り組む」とする組織も2割となっている。
組織の収入(機械設備への補助を除く交付金・補助金を含む)は1000〜3000万円の割合が一番高く3割強。
決算状況を組織形態別に見ると、法人では黒字の組織の割合が8割と高いが、他方で赤字組織の割合も1割以上となっている。
◇課題は肥料代
収支の変化は「改善した」とする組織が5割強となり、その理由は「作柄が良かった」「生産コストが減少した」など。
運営上の課題では「肥料代の高騰などで思ったより支出が多かった」が7割と突出している。次いで「作柄が悪く作物の販売量が十分確保できなかった」が3割強となっている。
農水省は集落営農組織の支援方策を検討する基礎資料とするためこのアンケート調査を実施している。