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食品産業の震災影響は7割超 消費者の安全意識は強まる

 日本政策金融公庫の農林水産事業は7月に実施した食品産業と消費者動向の調査で東日本大震災の影響について分析し、その結果を9月5日発表した。

◆原発の影響を強く懸念

 食品産業調査は東日本大震災の被害を大きく受けた企業を除く6659社を対象に実施し、2666社から回答を得た。
 大震災の影響について「影響が出ている」という食品産業の全国平均は75.6%だった。地区別にみると東北、北関東、南関東は8割超と特に高かった。
 影響はなかったものの今後の影響を見込む企業は7.1%となった。
 また、福島第一原発事故の影響については「影響が出ている」が53.4%で、ここでも東北、北関東、南関東が特に多かった。今後の影響については地震より2倍高い13.5%の企業が懸念している。

食品産業への東日本大震災の影響


◆「売上高」にもっとも影響

 震災と原発事故による経営全体への具体的なマイナス影響として、もっとも多かったのは「売上高の減少」(61.7%)で、なかでも北関東は77.8%ともっとも高い。次に多かったのは「原材料、資材、商品の仕入れ価格の上昇」(51.6%)だった。
 一方、プラス影響では「取引先等からの引き合い、需要の増加」が11.9%でもっとも多い。次いで「売上高の上昇」の11.7%で、東北や九州、四国が他地域に比べて高く、売上高についてはマイナスにもプラスにも影響している。
 今後の影響に対する対応としては「仕入れ先、製品、商品の変更、開拓」が46.5%でもっとも多かったほか、「納入先、販売ルートの開拓、強化」(32.1%)、「正確な情報の収集、提供」(31.1%)があがった。


◆購入時は「産地」重視

 消費者動向は2070歳代の男女2000人に震災後の食品の購入行動について調査した。
 生鮮食品購入時に重視する点としてもっとも多かったのが「産地」で30.4%、次に「鮮度」で12.9%だった。加工食品についてもやや割合は低下するものの「原材料産地」が16.9%でもっとも多かった。
 食品購入時の意識として、生鮮食品を「原発事故の影響があると考える地域の生産物を買わない」という人が37%で、「気にならない」(19.1%)、「買う」(9.1%)という人を上回った。
 加工食品についても「気にならない」(21.5%)、「買う」(9.1%)を「買わない」(34.8%)という人が上回る結果となった。


◆食料備蓄への意識高まる

 震災後の購入量について「減った」とする分野は花、菓子といった嗜好品のほか、生鮮食品や加工食品にも多かった。これは消費自粛や物流の混乱が背景にあるとみている。
 一方でミネラルウォーターや飲料は「増えた」という人が多く、家庭用備蓄や被災地などへの送付需要によるものだと分析している。
 食料備蓄への意識として「必要性を感じるようになった」とする人は34.3%で、「もともと必要性を感じている」の34.5%とあわせると約7割に上り、備蓄の必要性の再認識が表れる結果となった。


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