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田畑の価格、20年連続で下落 不動産研究所が調査

 (財)日本不動産研究所は田畑価格などを調査して9月25日発表した。

◆要因は「買い手・後継者がいない」

 全国平均の10aあたり価格は、田が83万2425円、畑が47万6608円で、前年に比べ田は1.6%、畑は1.8%それぞれ低下した。
 田価格は平成23年産米取引価格が回復したものの、長期的には農業経営の先行き不安などから規模拡大意欲が減退しており、水田を買ってまで拡大する人は少ないとみられる。このため20年連続の下落となった。
 畑価格は、北海道では小麦やジャガイモ、マメ類などが輪作体系に組み込まれるなど、比較的安定的に畑地が利用されている。
 しかし都府県では、施設での野菜や花、特産のイモ類などの栽培が、高齢化などによって規模縮小や撤退に追い込まれている。
 このため条件不利地域を中心に下落傾向に歯止めはかからず、21年連続の下落となっている。平成3年の畑価格は約68万円だった。
 下落の理由は、田では[1]後継者の減少24%[2]米価の下落22%[3]買い手がいない[4]高齢化の順となっている。
 米価回復で「米価下落」を理由とする割合が減っているが、東北と北陸では依然として第一順位となっており、水田農業への依存が高いことを表している。
 畑価格下落の理由は[1]買い手がいない[2]後継者の減少[3]高齢化の順となっている。
 「買い手がいない」割合が高いのは中国の約30%、東山の27%で畑作物の産地だが、管理に労力が要る畑作からの撤退が増加していること、また東北、北陸ともに水田で米作のほかに麦、大豆、野菜、飼料作物が生産されることが畑需要減少の背景にあるものとみられる。


◆都府県では施設栽栽も縮小や撤退

 賃借料は田が1万934円、畑が5621円で、前年に比べ田が1.9%、畑が1.5%それぞれ低下した。
 米価回復や戸別所得補償制度の本格実施をにらみ、賃借に出すことを控える動きもあって、ほ場条件の良い水田の賃借料は強含みとなったが、条件不利地域では借り手のいない状況が進んでいる。このため全体としては引き続き下落となった。 畑作経営についても戸別所得補償制度が実施されることになったことから北海道では比較的保合傾向の割合が高かったものの、転作水田に畑作物が作付けされるようにようになったことや条件不利地域では管理に労力が要ることから規模縮小やリタイアが進んでおり、全体としては引き続き下落となった。
 なお、野菜作などでは農業生産法人や新規参入の個人・法人が増える動きも見られ、賃借の新たな受け手の1つとなっている。
 同調査は都道府県で農地事情を最もよく反映するとみられる市町村約1500を選定し、今年3月末現在で調査した。

(2012.09.28)