19年度のJA共済事業は、生命共済が目標を大きく上回り9年ぶりに18兆円を超える新契約実績をあげた。これは18年度実績よりも71%も伸びたことになる。需要が一巡した建物更生共済は目標を達成することはできなかったが、生命共済と建物更生共済を合わせた実績は31兆円となり、2年ぶりに30兆円の大台を回復した。
また、国内における新車販売台数が伸び悩むなか、自動車共済はほぼ昨年並みの実績をあげ、自賠責共済では台数・掛金ともに目標を達成した。
いまJA共済事業を取巻く環境は、組合員の高齢化、原油や飼料、肥料原料価格の高騰などによって農家経営が圧迫されていること。郵政民営化や保険の銀行窓販開始によって共済・保険業界の競争がさらに激化しているなど、厳しい状況にある。
そうしたなかで「これだけの成果をあげることができたのは、LAをはじめとするJAの役職員の方々やJA共済連の役職員が、このような環境に負けまいと努力された結果」(野村弘会長)だといえる。
19年度からの「3か年計画」の中間年度である20年度は、次期3か年計画に向けての架け橋となるような中長期的視点も加味した(1)絆の強化と仲間づくりの取組み強化 (2)JA支援機能の強化 (3)JAおよび連合会における事業計画管理等の高度化 (4)郵政民営化および銀行窓販全面解禁への対応 (5)信頼性向上への取組み強化の5点を「重点取組事項」に決め、これの実現に向けて取組んでいく。
とくに、最重要課題である「絆の強化と仲間づくりの取組み強化」では、「3Q訪問プロジェクト」の実践を徹底することと、それを通じた「世帯内未加入者解消運動」や「紹介者依頼活動」を展開し、ニューパートナーを69万人以上獲得することを目標として掲げている。
そこで本紙では、これからのJA共済事業の課題、そして事業基盤である農業・農村について、野村弘経営管理委員会会長と今村奈良臣東京大学名誉教授に忌憚なく語ってもらった。(詳細記事)
このなかで野村会長は、「30年満期というような長期にわたる契約をしていただいている方々が、万が一のときにどういう保障がされるのか、契約内容をいま一度ご理解いただく」ために「3Q訪問活動」を展開することを決めたと語った。これに対して今村名誉教授は、JA共済がこの施策を掲げたら「生保会社でも同じような取組みを打ち出して、PRしている」が「テレビで宣伝するだけでは効果は薄い」。「あなたの契約はこうなっていますが、保障は十分ですか、などアフターケアをすることが重要」だと指摘した。
さらにいまJAに求められているものは、新しい時代の絆と結(ゆい)を作り上げることであり、そのために組合員・利用者に出向く「3Q訪問活動」は重要な手段であることなどが語られた。
そして最後に野村会長は、これまで以上に組合員・利用者との「絆の強化と仲間づくり」をすすめ、「安心と満足を提供して豊かな生活づくりに貢献するとともに、将来にわたる共済事業の強靭な事業基盤を確固たるものにするために努力」するとJA役職員へのメッセージを語った。
またこの特集では「JA共済優績組合表彰」でJA共済大賞に輝いたJAとぴあ浜松(静岡県)とJAあいち豊田(愛知県)における共済事業の位置づけや取組み内容を取材した。(詳細記事)
さらに「3か年計画」の重点課題の一つに掲げられている「人材育成」について、19年度から始まり高い評価を得ている共済基幹職員研修「次世代リーダー養成コース」の成果を検証するとともに、20年度からスタートする「JA共済担当役員セミナー」の内容を取材した。(詳細記事)
そして「保障の提供」とともにJA共済を支える車の両輪だといえる「社会貢献活動」の20年度の取組み内容を紹介する。(記事参照)