JA全中会長 宮田勇氏 |
長年、農業協同組合運動の発展に献身的に寄与してこられた功績者を表彰する「農協人文化賞」は、今年で記念すべき30回目を迎えました。昭和53年に創設されて以来、信用、経済、共済、一般文化の各部門から毎年選定され、過去に247人の方々がこの栄えある賞を受賞されました。
この賞は、ご承知の通り、組合活動の縁の下の力持ち的な隠れた功績者を表彰するというものですが、受賞された顔ぶれを拝見いたしますと、優良JAとして全国にその事業や活動が広く知られている組織の中心的存在でもあり、JAの発展に寄与した真の功労者であることが伺えます。
また、過去30回にわたり受賞された諸先輩の皆様におかれましても、各部門の事業において優れた指導力を発揮され、地域のリーダーとして組合活動に多大なる貢献をされてきた人ばかりでした。JAグループはもちろんのこと、日本農業全体の発展に大きく寄与されたものと確信いたします。
さて、ここで国内外の食料・農業をめぐる情勢に目を向けてみたいと思います。バイオ燃料への関心の高まりや大生産地国の干ばつ、途上国の経済発展などにより、世界的に食料不足・高騰の様相を呈しています。こうした影響は、飼料価格の高騰を引き起こし、国内の畜産・酪農に大きな打撃を与えています。食料自給率が39%と先進国の中で最低水準にあり、消費者の国内の農業への期待もかつてないまでに大きくなっています。
また、安全・安心な農畜産物への関心の高まりや、地場産学校給食など地産地消の広がり、食農教育への関心の高さは、一過性のものではなく、消費者の大きな関心事項として定着してきております。本年1月の中国産ギョウザ問題などを機に、食料や農業、そしてJAに対する消費者の関心や期待は非常に高まっています。
JAグループではこの機を食料・農業についての理解促進を図るための好機としてとらえ、6月から「やっぱり国産農畜産物推進運動〜みんなのよい食プロジェクト〜」を全国的に展開しております。これは、国内農業が高齢化、担い手・後継者不足といった課題を抱えている中で、JAがその存在意義をさらに高め、食料を安定的に供給するという大きな役割を果たしていくという大きな決意であります。
こうした中で、当賞が30年にわたり、真にJA事業や地域農業の発展に尽力された“隠れた貢献人”を発掘し、このようにJA内外に広くご紹介してきた実績は、誠に意義深いことであります。特に、今年度からは、「農協協会の事業」から、広く「農協運動の仲間たちが贈る」農協人文化賞に発展させようということで、表彰の対象を「信用」「共済」「営農・経済」「厚生福祉」の各事業部門と「一般文化」部門(各部門若干名)に広げ、まさに農協運動の仲間が表彰する事業にということになりました。
功績者の功績を称えるととともに、各地のJAの優良事例を参考にしながらさらなる事業展開を図っていただきたいと思います。
最後になりましたが、受賞者の功績に改めて敬意を表しますとともに、本賞のますますのご発展と関係各位のご活躍、ご健勝を祈念いたしまして、祝辞とさせていただきます。