◆エコライフ宣言、実践の年
――昨年の女性大会では「エコライフ宣言」を採択、地球環境問題への取り組みを活動テーマに掲げました。どんな運動が生まれていますか。
「今年度は実践年ですから、都道府県、あるいは単組ごとに、マイバック、マイ箸、節水・節電などさまざまな取り組みが展開されています。
たとえば私の県女性協では、電気料金の10%削減を掲げました。毎月の電気料金を記録して削減目標をみんなで達成しようということです。
映像で温暖化によって引き起こされるさまざまな危機的なシーンを見ますと、私たちは人類の存続にも関わるような大きな負の遺産を残してはならないという思いを一層強くします。
農業者は温暖化を肌で感じてもいます。地域によってはコシヒカリの品質が悪くなり、品種を変えざるを得ない状況になりつつあります。温暖化は作物によっては良い効果をもたらすものもありますが、あまりにも負の部分が大きすぎます。
CO2などの温室効果ガスの排出量は06年度にくらべて07年度は全体では2.7%増えているということですが、家庭からの排出は8.4%も増えたということですね。だから私たちは家庭で今すぐにでもできることに継続して取り組むべきですし、確実に運動の輪は広がっていると思います。運動を展開することにより環境問題へより関心を持てるという点においても意義ある活動だと思います」
◆フレッシュミズの位置づけを明確に
――女性組織の強化についてはどんな取り組みが進めれていますか。
「どんな活動をするにも組織が基盤ですが高齢化の進行もあって全国で4万人を超えるメンバーが減少しています。
組織基盤の強化を図るためには特に次を担うフレッシュミズの加入促進を進めなければなりません。そのためにメンバーのみなさんが活動しやすい環境も整える必要があります。そこで昨年はフレッシュミズ活性化検討委員会を開催し、提言を出していただきました。
提言をふまえ、年齢、位置づけ等について整理したところです。女性組織を構成するのは、エルダー、ミドル、フレッシュミズの3部で位置づけは並列で対等です。ですからフレッシュミズの皆さんは女性部(会)員でもあるという自覚を持って、女性組織の活動にも参加していただきたいですね。
また、女性組織では、20年度、子育て支援も重点活動とし、全中の「JAくらしの活動」と連携を取りながら進めています。子育て支援にはエルダー層の皆さんにも積極的に関わって頂きたいと思っています」
◆農政への理解深める活動も
――ところで昨年は食料危機が叫ばれる一方、生産資材価格高騰など農業生産を直撃する事態も起きました。
「先日もある肥育農家の方から飼料価格はやや下がったものの値上がり以前にくらべればまだ高く採算がとれていないと聞きました。農業の危機的な状況に対して女性組織が何ができるか。
農政は私たちの生活に非常に大きな影響を及ぼしますから、私たちもJAグループの一員として農政活動には積極的に関わっていかなければなりません。
これまで工業優先で農業の輸入自由化を進めてきましたが、これ以上、市場開放すれば食料自給率50%なんてとても達成できないと思います。WTO交渉では重要品目数は4%案が突きつけられるなかで日本は8%を死守するといっていますが、本当に自給率を上げるようさまざまな取り組みが必要です。
また、自分たちも消費者ですから積極的に国産農産物を食べることと同時に、消費者に食料と農業の課題を共有してもらうための活動も必要です。食の安全・安心への不安から地産地消などに関心も高まっていますから、地域・行政と連携して、たとえば学校給食のごはん給食回数をもっと増やすといった働きかけにも取り組むべきだと思っています。今はチャンスでもあるわけで、JA女性組織が地域での運動を盛り上げる役目も果たしたいですね。
しばらく前ですが、東京で地元産農産物の販売をしたところ、日本のブロッコリーは初めて買います、という人がいました。価格面もあってのことなのかも知れませんが、穫れたての野菜は本当においしい。調味料なんていらないぐらいおいしい。外国産に頼っていてはそういう味覚までなくしてしまうということではないかということも理解してもらえればと思います」
◆女性の活動に正当な評価を
――JAへの女性参画が大きな課題ですね。
「地産地消や食農教育などこれだけの活動をしていることに女性は自分自身を誇っていいと思います。ただ、JA組織に占める女性役員比率は2.7%と非常に低い。JA組織の活性化のためにも女性組織の活動をJAが正当に評価して、運営への参画を促していくという取り組みが必要だと思います」