その2 |
女性部の元気で地域おこし・農おこしを!!
「地域の食と農を守るため」女性部の活性化をめざす
JA秋田おばこ女性部役員のみなさん |
◆女性のリーダー育成がJA運営に不可欠
女性が活躍しているのは、なにも加工所や直売所だけではない。美郷町で水田のほかに1200坪のハウスをつくりダイズ、コギク、アスパラガスなどを生産している田口成子さんは、平成19年の第49回全国家の光大会記事活用部門で、キュウリ栽培に賭ける想いを発表し、農林水産大臣賞を受賞した。タイトルは「いつも明るく元気よく」だ。
園芸女性の会会長 池田英子さん |
田口成子さん |
田口さんは「農村は女性が動かないと元気にならない。経営的にみても、今のままでは日本の農業は立ち行かなくなる」と厳しい意見を持っている。将来的な農業経営の展望について「ずっと米の価格は安いままだし、米以外の柱を立てないといけない。JAには営農指導、経営指導をきっちりやってもらって、3つ4つと経営の柱を立ててリスクと資金を分散しないといけない」と、具体的なアイディアを語ってくれた。
同じく生産現場で活躍する園芸女性の会会長の池田英子さんは、生産者として、経営者として、女性がいかにあるべきかを考えるために「トップになれる女性を育てる必要がある」と提言した。
「しっかりした意見を言えるリーダー的存在の育成が必要。わたしもそうなりたい。JAがきちんと女性リーダーを育成してほしい」と注文し、女性部ひいてはJAのさらなる発展のためには、人材の育成が重要だと強調した。
JA秋田おばこには現在、女性理事が1人いる。しかし1人ではなかなか意見が通らないのが現状だ。「将来的には2人、3人と理事の女性枠を増やしてほしい」と話すが、そのためにも「JAには、ハイレベルな意識を持つ女性を、しっかり拾い上げていってもらいたい」と切望している。「女性は男性と違って、ストレートに意見が言える」のがいいところだ。「リーダーになる女性を育てて、経営に参画していかないと何も変わらないし、何も始まらない」と断言する。
◆若い仲間を増やすにはどうすればよいのか
女性部部長 |
JA秋田おばこ女性部部長の佐々木フミ子さんに女性部の目標を聞いた。当面の目標は「教育文化活動」と「部員減少に歯止めをかける」ことだ。
「女性大学のカリキュラムを農村女性に合ったものにして、今の盛り上がりを維持したい。部員減少は、時の流れでしょうがない部分もあるけど、若い人たちが自然と仲間になれるように、知恵を出していかないとダメ」だという。
JA秋田おばこは昨年、合併10周年を迎えた。これからは、歴代の女性部部長が築き上げてきた歴史を守りながら、一方で現代のニーズにあった活動もしていかなければいけない。「両立していくのは難しいけど、難しければ難しいほどやりがいと意味合いがある。農業は厳しいと言われているけど、夢をもって活動したい。女性が世の中に進出していくのは、今がチャンス」と、力強く目標を語った。
さて、こういった現状に対して、若い女性部員たちは女性部の活動や新規加入の促進をどう感じているのだろうか。
フレッシュ部会長 |
フレッシュ部会長の佐藤啓子さんは「色々なイベントがあるけど、なんにでも興味をもって参加していくっていう人はあんまり多くない。気軽に足を運べる農協にならないと、部員は増えない」と指摘する。「何かをやっていきたい、という意識の高い女性部員ばかりじゃないし、『出る杭は打たれる』みたいな雰囲気を壊していかないとダメ」だという。
そういった中でも佐藤さんは、女性部だからこそできることもあるという希望を持っている。「読み聞かせみたいな食農教育とか、ボランティアとか、農業じゃないところで女性部活動が地域に貢献できることはいっぱいある。フレッシュは今200人ぐらいいるから何かができると思うし、トップの人に理解してもらって、若い人たちの運動や意見をもっと吸い上げることが必要ですよね」。
◆「夢を持てばなんでもできる!」
女性部部長の佐々木さんは「今は、夢を持てばなんでもできる時代。やってみたいことはたくさんある」と、笑顔で語った。
それは加工部会や直売部会の活動などを通じて、農業・農村の女性も自分の口座を持てるようになり、自分で自由に使えるお金を得ることができたからだ。
JA秋田おばこの藤村正喜組合長も「女性のみなさんに収入を持ってもらわないといけない。自分の考えで使えるお金を持たないといけない」と、“収入”の重要性を話す。
ただし自由に使えるお金を持っても、それを活かす方法を考える力が必要だ。そのためにも、女性大学という教育文化活動の持つ意味は非常に大きい。教育文化活動によって、『農村女性としての教養を高め、農家経済の安定と農村生活の向上を図る』(JA秋田おばこ女性部規約第1条)ことが可能になるからだ。家の光大会受賞者の田口さんも「女性大学の9月講義で今村先生のお話を聞いたことが、出荷や販売先などについて改めて考えるキッカケになった」という。多くの女性が教養を身に付けることで、新しい農業経営の道が拓けてくる。
来年度もJA秋田おばこ女性大学は、農業に関するものから文化活動や修学旅行まで、多彩な年間スケジュールを予定している。来春の平成22年に現在の1期生が卒業したあとは、第2期の開講も企画している。
女性部の活性化は、そのままJA全体の活性化につながる。女性が元気にならないと、農業・農村は元気にならない! JA秋田おばこ女性部総勢3410人は、“でっかいおばこの大地”でこれからも元気に躍動していく。
“自分らしくもっと輝くための”女性大学。生徒は明るく楽しく学んでいる |