――まず、JA秋田おばこ女性大学の特徴をお聞かせください。
JA秋田おばこ女性大学の目標は、女性部員全体のレベルアップです。だから、単なる教育論や組織論を学ぶだけではなくて、日常生活の中での問題点や関心事を講義に取り込んでいるのが特徴的です。例えば食について農についてだけでなく、余暇の過ごし方などもテーマにしています。また年齢制限なども設けず、希望する人にはできるだけみんな受講してもらうようにしました。
そうしたら、当初目標にしていた人数をはるかに上回る130人も応募がきてしまった! 驚いたのは、毎回8割以上の方が参加していることです。出席率が非常に高いんですよ。
――女性大学のメリットはどのような点にあるのでしょう。
やはり今、農村に元気がありません。景気が悪いと、すぐに『収入だ、お金だ』という話になりがちですが、重要なのは心の豊かさですよ。『見栄、無理、ムダ』がどれほど農村の生活を窮屈にしているか。本当の意味で成長するためには、教育文化活動が絶対に必要です。女性部が教養を身につけて活躍することで、地域全体が活性化していくと思っています。
――女性大学の開校で苦労したことなどはありましたか。経緯なども含めて、お聞かせください。
JA秋田おばこは平成10年10月1日に20JAが合併してできたJAで、平成20年に10周年を迎えました。合併時に婦人部も1つに統合して女性部を結成しましたが、高齢化とか、離農とかで女性部員の数は合併当時に比べるとおおよそ半減してしまいました。このままではいけない、何か女性部の部員みんなが共通して取り組めるような目玉が必要だと考えました。
そもそも、農業における女性の割合は6割ほどあります。これからの農村づくり、JA活動などは、女性部の活躍ナシには考えられません。男性が手がけると、どうしても固いというか硬直してしまうようなことでも、女性は柔軟に対応できる、というメリットもあります。
そこで、いかにして女性が活躍できるようになるかと考えたところ、教育文化活動を前面に出して、女性のパワーを発揮する場が必要だと感じたのです。
まずは女性部幹部とも話し合って、『家の光』の購読拡大を図りながら3か年計画で『家の光文化賞』を狙い、見事19年度の文化賞を受賞しました。さらに、女性部員全体のレベルアップも必要だということで、20年6月に始めたのが女性大学です。
短い準備期間でしたが、女性大学を開校しているJAを視察して、独自の女性大学を目指しました。小さいお子さんを持つ参加者のために、託児所を設けるなどの工夫もしています。
――今後のJA秋田おばこ女性部の活動について、展望をお聞かせください。
まず、理事や総代における女性の数を増やさないといけないでしょう。今は理事が1人で、総代が全695人中37人です。もっと女性枠を増やして、女性側の眠っている意見を出していきたいですね。
もし女性部がもっと力を入れてやっていけるなら、女性の働く施設も広げたいと思います。ただし広げるからやる、というのではなく、やるなら広げるというのが、重要ですけどね。
――最後にJA秋田おばこ全体について、目標などをお聞かせください。
昔の農村というのは、みんなで一緒に楽しみ、苦しみしていましたが、今は個々がバラバラになってしまいました。職員1人ひとりがJAとしての共通意識を持って動くことで、「この地域にJAがあってよかったな」「困ったことがあったらJAに行こう」と言われるようなJAにしていきたいと思います。多くの仲間と一緒に楽しみながら、人生を過ごせるようにしたいですね。