特集

第55回全国JA青年大会特集

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【インタビュー】
自ら動き閉塞感を打破しよう

JA全青協 竹村英久会長に聞く

 「つかみとれ 輝く農業の未来」をメインスローガンに掲げた第55回JA全国青年大会。「自分たちが動き組織が力を持てば変わる。それが分かる全国大会は意義がある」と竹村会長は話す。大会を機に青年部の課題、農政に求めることなどを聞いた。

――大会スローガンに込めた思いは?
 最初に「つかみとれ」をもってきたのは、自分たちで動いて「つかみとろう」という気持ちの強い表れ。つかみとった先には明るい農業がある、そこに向けてみんなで農業を変えていこう、というメッセージです。
 われわれを取り巻く状況は依然として厳しい。しかし、今後の食料事情を考えると2020年には世界の食料需給が逆転するという話ですね。日本として食料を確保していく、それを実現する政策をやってもらう必要があるが、同時にわれわれも「自分たちが食料を支えるんだ」という気持ちで農業に取り組んでいかなくてはと思っています。
 自分たちが活動することで農政は変わるんだという認識がまだ不足しているのではないかと思う。それを一人ひとりが認識すれば、組織として大きな力になる。
 たとえば、昨年は畜産酪農危機突破のため青年部も独自の活動を展開し、マスコミでも取り上げられかなりアピールできたと思いますし、今年になってから急にクローズアップされた都市農業の税制問題でも危うく税制改正という話になったわけですが、首都圏の青年部が中心になって運動を起こしJAグループが動き政府も動くという大きなうねりを作り出せたと思っています。
 ――活動の課題は?
 街宣活動のとき、そんなに農業が大変な状況になっているのならもっと早く言ってほしかった、という声を聞きました。いろいろなシンポジウムにも参加しましたが、もっと声を上げるべきだという意見もあった。自分たちは声を出しているつもりでも一般の人たちには届いていない、と実感したのも事実です。
 だから、地道な活動ではあってもやはり食農教育にこれからも力を入れていかなければなりません。
 ただし、苗を植えたり収穫するだけでは不十分で、作物が育っている間にも何かを子どもたちに体験してもらう必要があるんじゃないかと思うし、収穫した後に食べてもらう、もしくは食べてもらってから農業体験をしてもらう。つまり、食べ物からスタートすることをやらないと。この食べ物はこうやってできているんだということを感じてもらわないと食農教育は身に付かないのかなと思いますね。
 最近は田んぼの生き物調査に取り組んでいる青年部も増えてきています。農業があるからこそ、こういう生き物が育っている、食べ物を作っているだけではなく環境、生態系を守っているんだというところまでの学習を各地での農業体験のなかに入れていってもらいたい。それでより一層、国産農産物の大事さということが伝わるのではないかということです。
 ――農政改革が議論されていますが何を求めますか。
 昨年7月末のWTO交渉ではジュネーブに駆けつけEUや東南アジアなどの農業団体と連携して今の交渉は反対だと声を上げました。しかし、その声が届かない。それどころか危うく合意しそうになったことを目の当たりにして、やはりWTOは農業軽視だと思いましたね。交渉自体が新しい市場をどうこじ開けるかということですから。
 だから、食料・農業の交渉はこれでいいのかということを日本も国としても分かってもらわなければいけないし、国の根本のあり方、食料生産なくして国は成り立たないということをまず考えるべきだと思います。
 足りなければ輸入すればいいという考えがありますが、それもできない状況になりつつある。どういう状況になろうとも国民を飢餓に陥らせてはいけない。今回のサブスローガンは「No farm No life」ですが、農がなければ生活も生命もないということです。この言葉をまずは第一に考えて、いろいろな政策を考えていくことを求めたいですね。
 ――JAへの参画については?
 自分たちが中心になってJAを動かしていくということをぜひ意識して活動してほしいと思います。
 今のJAのかたちが正しいと思うのではなくて、自分たちで動いて自分たちの使いたいJAにしていく。それを自分たちでやっていく。青年部のみなさんがそれに取り組めばJAの新しいかたちも生まれ、今のJAの閉塞感も打破できるのではないかと思います。青年部の元気が出るようにJAも組織で下支えをしてほしいですね。青年部が元気であれば新たな就農者も当然出てくると思います。

(2009.02.26)