――JA粕屋青年部の概況を教えてください。
正組合員数4500人ほどで、青年部の人数は160人ほどです。しかし最近は北部の方で20代の就農者が増えてきています。
――JAとして新規就農を呼びかけるような活動をしたのですか。
若者の就農促進のため、特別に大きな取り組みをしたわけではありません。昨今の食の安全、環境、地産地消などの問題の中で、農業に対する思い、農業経営に対する見通しなどを持ち、農業に魅力を感じた人が増えたのだと思います。今後JAとしては専門の指導員などをおいて、新規就農者をサポートしていく体制を作らなければいけません。やはり農協本来の姿は農業ですからね。営農指導には、しっかりと力を入れて取り組みたいですね。
――青年部の意義や役割などはどうお考えでしょうか。
やはりこれからの日本の食を支えていくのは青年農業者です。なんとしても青年部を大きく育てなければなりません。JA粕屋では3年前から、青年部の意見に耳を傾けたい、農業にかける想いを直接聞きたいということで、青年部と農協役員との意見交換会を始めました。そこで若い人たちの意見を聞くと、大変参考になるんですよ。たとえば法人化への不安、国の政策に対する不満など、やはり若い方々は視点が違いますし、「もっと大きなことをやってやろう!」というアツイ意気込みが感じられて、非常に刺激的です。実際にそういった意見交換会の中から、新ブランド『かすやそだち』の立ち上げプロジェクトが始動しました。「青年部がJAを動かした」ということで全国大会にも出場しましたし、これから青年部が大きく育つための起爆剤として期待しています。意見交換会は青年部にとってもJAにとっても非常に有意義なので、今後も継続していこうと思います。
――JA粕屋全体の目標や取り組みについてもお聞かせください。
粕屋地区のカロリーベースでの食料自給率が非常に落ちています。平成9年には11%ほどだったのが、18年には6%にまで落ち込んでしまいました。農協の果たす役割は、生産者の手取りを増やすと同時に、地元の食卓をうるおし、地域全体を活性化させることだと思っています。「自分の町の米を食べたい」という消費者の地産地消のニーズに応え、生産から販売まで顔の見えるカタチの生産物を提供できるような仕組みを作りたいですね。
――最後に今秋の第25回JA全国大会や、今後の農協運動などについて、ご意見をお聞かせください。
農業の問題だけでなく日本の国防の観点からも、食料自給率はもっともっとあげなければいけません。そのためには、欧米のような農業の大規模化ではなく日本型農業を確立する必要があります。国がもっと真剣に農業のことを考え、個別の所得保障や農業支援策などを打ち出すように、農協はより強く訴えていかなければならないと思います。